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【完結】
1885年、アメリカ合衆国。術士と平民の権利を巡り全土が戦火に呑まれたシヴィル・ウォーから20年、災禍を乗り越えた合衆国は世界一の大国として栄華を極める「黄金時代」が到来する。カリフォルニア州、サクラメントの若き電信技士が引き受けた任務を通じて様々な道が交わっていく。
蒸気機関車に勇気と冒険を乗せ、合衆国を駆け巡るクラシカル・アメリカン・ファンタジー。
ロバート・グレイヒル
Robert Grayhill
カリフォルニア州サクラメントの電信技士。根っからの研究者気質で電気回路の知識に長ける一方、電信局内の政治には無関心。
シヴィル・ウォーの名将、ワトキンス・グレイヒル将軍は彼の叔父で後見人。
叔父の紹介を受けて電力会社の職務を引き受け、電力事業の時化を抑えるための研究に着手する。
アンジェラ・エマソン
Angela Emerson
サクラメントの術士資産家、"光線卿"ことビル・エマソンの一人娘。強力な術の才を持つ。
慈善家である父に反して性格は冷徹で、「エマソン家の傲岸不遜な娘」は市民のみならず西海岸の術士コミュニティからも敬遠されている。
子供の頃にロバートと知り合ったことがある。
岡田稲熊
Inakuma Okada
日本の軍人。旧薩摩藩出身の士族。
西洋の技術を学ぶために日本政府が送った技士の使節団と共に渡米、ロバートらと出会う。
軍刀は制式のサーベルではなく、個人の所有する日本刀。
リニー
Linie
本当の名前は「リニヤキワニ」。アメリカ南西部のインディアンの娘で術士。英語が堪能。
ロバートと乗り合わせたサンフランシスコ行の列車が時化で事故を起こしてから、成り行きで行動を共にするようになった。
常に寡黙で旅の理由は謎に包まれている。
アメリカ大陸に位置する連邦制国家。1776年、英国から独立を遂げた13の植民地の集まりに過ぎなかったこの国は、百年余で欧州の列強をも凌ぐ超大国に成り上がった。その発展には鉄道の存在が欠かせない。シヴィル・ウォーという内戦を経た今もその成長は留まるところを知らず、「黄金」の時代を邁進している。
19世紀初頭に英国で発明された輸送機関。蒸気機関を搭載した機関車が鉄軌道の上を走る。馬車よりも速く、大量に物資を運ぶことができ、輸送の世界に革命を起こした。アメリカ合衆国は国中に鉄道が敷かれ、その技術は国の発展の礎となった。
有史以前から自然界に発生する神秘の現象。暖炉の火がひとりでに消える、冷めたスープがもう一度温まる、窓を閉め切った部屋に風が吹くといった可愛らしい現象に過ぎなかったそれは、産業革命の進展と共に機械に致命的な故障を引き起こす厄介者として人類に立ちはだかるようになった。諸原理、発生の法則は謎に包まれている。
ごく少数の特別な能力を持った人々の総称、かつては「魔術師」「魔女」と呼ばれていた人々のこと。自らの意思で周囲の時化の発生・抑制を制御でき、その力は蒸気機関を安全に動かすものとして無くてはならない。純血の術士の子のみにその力は遺伝する。
本作の完結を記念して、作者の友人であるkawaさんに『鐵軌の帝國』のイラストを描いていただきました！
kawaさんのコメント
「4人が手探りで冒険を始めた頃のわちゃわちゃ感が好きなので、第二章の団らんを描きました！この場面では、主人公のロバートが「時化」という自然現象を防止し電力を安定させることに成功します。荒野と電灯という殺風景な景色のなかで、成功の明かりに照らされ、達成感と希望に満ち溢れているキャラクターたちを対比させました。彼の画期的な功績に対する世界の反応は、本編でお楽しみください！」
素敵なイラストをありがとうございました！
