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テラレジア・オーダー

テラレジア・オーダー

【不定期連載中】

王家の末裔アークと相棒のフェルドが繰り広げる活劇。スリルあり、アクションあり、ミステリーあり、ロマンスあり――昭和なオヤジギャグもモチロンあり。環大西洋世界の文化が絶妙に混ざり合ったロマンチックな国、テラレジアでの冒険をお楽しみください。

基本一話完結型の作品。どれから読んでも楽しめます。

・本作は不定期連載です。更新情報は毎月発行の雨宿拾遺物語をご確認ください。


ストーリー

悠久の時を超え、あのろくでなし二人組が帰って来た!?

1980年代の前半、大陸の西の果て、大西洋に面した国、テラレジア共和国。

かつて存在したテラレジア王家の正統な子孫アーク・ウエスト・〝テラレジア〟とテラレジア一の喧嘩屋フェルド・スターのもとには、現実の歪んだような様々な事件が舞い込む。

戦いのカギを握るのは、現実を塗り替える強い感情の力「オーダー」。

最新話(2025.11.2更新)

アーク・ウエスト・〝テラレジア〟

かつて存在したテラレジア王家の直系の子孫にあたる。王政廃止に伴い、王家は辺境の島に100年間の流刑に処された……が、このたび100年が経過したので首府に舞い戻ってきた。それ以来、太陽通りのとあるアパートの3階を拠点に、相棒のフェルドと共に「王政復古のための戦い」を続けている。

襟につけた「王珠(おうしゅ)」は王家の三宝の一つで、古くから王に強力な魔力を与えてきたとされる。アークはこれを利用して他人の現実を読み取ると共に、現実を塗り替える「オーダー」を使うことができる。

フェルド・スター

いろいろあって10年間の懲役刑に服していた(本当は無実)が、めでたく刑期満了で出所した。この日はちょうどアークが100年の島流しから帰って来た日で、何の因果かその日に出会ってしまった二人は、首府の下町から「王政復古のための戦い」を始める。

「売られた喧嘩は買う」がモットー。腕っぷしの強さだけではない、ピンチを切り抜ける機転も持ち合わせ、アークのオーダーが合わさった時、無敵の強さを発揮する。

カノン・ライカ

大手新聞テラレジオ・ポスト社の首府分社(アーク&フェルドが住むアパートの下の階にある)に勤める新米記者。「王の活躍を知らしめる」という目的のもと、二人の活躍を描いた連載記事「テラレジア・クロニコ」を執筆している。(ほぼ実録の「記事」だが、ほとんどの読者は「小説」だと思っている。)

いつも持ち歩くポラロイドカメラは亡き父が最後にくれたプレゼント。歪んだ現実の中でも、写真に撮れば正しい姿を写し出すことができる。アーク&フェルドの妹分としていろいろ振り回されているが、持ち前の明るさとここぞという時の判断力は二人を大いに助けている。

エリセア

テラレジア清教の尼で、太陽通りの坂のてっぺんにあるサンルーモ教会を管理している。一年前は清教の総本山、バロン大聖堂で修行の身だったが、修行を終えて今の教会に赴任した。尼僧のくせにアークと親密な関係にある破戒尼(あくまで〝プラトニック〟らしいが、それでもダメなものはダメ)。

実はテラレジア王家の分家の末裔で、わずかながら王家の血を引く。フェルドの幼馴染でもあったのだが、いろいろあって家族を亡くし尼寺に引き取られた。在俗の頃の名は「エリセア・メノブロード」。厳しくも優しい性格や、尼僧として強い法力を持ち、様々な方面からアーク&フェルドを支えている。

ローガン・モルド

テラレジア共和国の前大統領。いろいろあってその座を退き、今は行方知れず。元はと言えばアークたちの敵みたいな存在だったのだが、それも今は過去の話。どこにもいないのに、どこにでもいてそばで見守っている……気がする。

かつてはカノンの父であるフリーカメラマン、カリス・ライカと共に国中を駆け巡っていろいろやっていたらしい。その頃の縁があって、アーク、フェルド、カノン、エリセアの4人には並々ならぬ思い入れがある。


テラレジア共和国

大陸の西端、大西洋に面する共和国。かつてはテラレジア王家が治める王国だったが、約100年前に隣国フェデライトとの戦争に敗れたのをきっかけに王政が打倒され、共和制となった。その際に王家は離島に流刑となり、その正統な後継者がアークである。


オーダー

他人に影響を与えるほどの強い感情の力。感情の源は勇気、希望、自尊心、怒り、殺意……など様々だが、その感情の強さがオーダーの強さに直結する。本来は誰にでも備わっているものだが、強いオーダーを持つ者同士ならば目に見える形で現れる。

動揺、油断、騙される、秘密を暴かれる、勝負に負けるなどして「心のスキマ」ができた者は相手のオーダーに呑まれ、その相手の前では意識・行動に強い支配を受ける。

ファンタジーのようだが現実にもちゃんと存在する。上司が部下を従わせる力、アイドルに熱狂するファン、政治家や宗教指導者の影響力……それらはすべてオーダーなのである。中でもテラレジア王家の子孫たるアークが使う「テラレジア・オーダー」はすこぶる強力で、ひとたび掛けられればすべて彼の「思い通りにしかならない」。


歪んだ現実

個人の思い込みや自己暗示がその人に見せる「真実ではない現実」。

現実の見え方は人それぞれである。そこに「ない」ものを「ある」と信じ込んだり、人や物に対して強い思い込みや先入観を持っていると、その人の感覚には現実の光景までもが歪んで見えてくる。自分が見ている世界が歪んでいることに自ら気付き、修正するのは簡単な事ではない。

アーク&フェルドたちは王珠の力によって他の人が見ている「歪んだ現実」を一緒に体験することができる。うまく利用すれば相手の心の中を読み解くカギになるのだが、「誰が見ている現実なのか」「そもそも『歪んだ現実』を見せられていること」に気付かなければならない。


ポラロイドカメラ

アメリカのカメラメーカー「ポラロイド」社が製造するインスタントカメラの俗称。通常のフィルムカメラと異なり、撮影した写真がその場でフィルムに現像され、見ることができるのが特徴。

「歪んだ現実」はあくまでその人の思い込みが見せる光景なので、カメラで撮った写真には真実の光景だけが写る。そのため、ポラロイドカメラで撮った写真を見れば「歪んだ現実」に気付き、認識を修正することができる。(同じようなことがビデオカメラを通した映像でもできる)

カノンが持っているポラロイドカメラは子供の頃に父親からもらった誕生日プレゼントの品。


王珠

テラレジア王家の三宝、王冠、王笏と並んで最も重要な品の一つ。100年前の王政打倒時に王冠と王笏は共和国へ引き継がれたが、王珠は行方不明になってしまった。じつはどさくさに紛れて王家が持ち出しており、今ではアークの私物になっている。

強い魔力を持つといわれる宝石で、これを手にした王家は国を繫栄に導いていった。――というのが伝説で、実際、王家の後継者であるアークが使うことで彼のオーダーの力を極限まで引き出し、また他人の「歪んだ現実」を見る力も与えてくれる。

市場で値がつけられないほど巨大な宝石。


テラレジア清教

テラレジア人のほとんどが信仰する宗教。王国時代は国教として保護され、全国に教会・尼寺が建立された。一神教であり、そのルーツには土着の信仰にキリスト教、イスラームの影響が色濃く見られる。現在もテラレジア清教会という司祭・尼による組織が存在しており、総本山のバロン大聖堂が中心になって全国の教会を統括している。

各地の司祭・尼には通常の宗教的行為に加えて「陰なる仕事」がある。それは……人を脅かす怪異の退治である。


怪異

幽霊、妖怪、悪魔、霊障……など超常的な存在の総称。狭義にはその中でも人間に害をなすものを指す。これらは実際に存在するもので、テラレジア清教の司祭・尼たちが持つ「法力」はこれに対抗するための力である。「法力」の原理は信仰心という感情が生み出すオーダーであって――つまりオーダーの力でも怪異に対抗することができるというわけである。

ただし人間相手のオーダーとは異なる点もある。怪異はそれ自体不可思議に包まれた存在であり、オーダーにかけるためにはまず怪異の正体を暴かなければならない。(幽霊ならば故人の素性、妖怪・悪魔なら伝承についての情報、など)

そしてもう一つ、ふつう怪異は人間を恐怖で支配しようとする、これはいわば怪異のオーダーであり、やられると、憑りつかれて心身の自由を奪われるか……殺される。


太陽通り

首府の北岸地区にある街路の名前。〝庶民の街〟北岸地区を象徴する場所。丘へ続く坂道になっていて、商店が建ち並ぶ。頂上までいくと見晴らしのいい公園があってエリセアのつとめるサンルーモ教会がある。

通りの入口に立って右手側にある太陽通りの一番は、一階が建物の大家が営む「ガリバン印刷」、二階が大手新聞テラレジオ・ポスト社の首府分社でカノンの職場、三階が我らがアーク&フェルドが住む部屋である。

テラレジオ・ポスト首府分社の優秀事務員

テラレジオ・ポスト首府分社唯一の事務員。事務仕事全般から編集補助、受付嬢、電話番、お茶くみ、迷惑な隣人の撃退までなんでもこなす。カノンの一つ下の後輩。

連絡先

63B-5298 ←テラレジオ・ポスト首府分社(大抵はアイラかカノンが出る)

主な登場話

いろいろ

郷里で暮らすカノンのお母さん

カノンの母。学生時代に街を訪れたカメラマンのカリスと出会い、そのまま駆け落ちしたらしい。美人で料理がうまくてスタイルがいい(娘よりも)。

連絡先

154-A050 ←カノンの実家

主な登場話

母のフォトグラフ

シガヒニ王国の若き国王夫妻

アジアの小国、シガヒニ王国の国王と王妃。「テラレジア・クロニコ」の大ファン。国賓としてテラレジアに来た時には誘拐されちまったことがある。(『東方より王来たる』)

連絡先

↑の件以来シガヒニ王宮直通のホットラインができた

主な登場話

東方より王来たる

首府警察の麗嬢刑事

本名シルバーソフィア・マルヴィナス。正義感に溢れた絵に描いたような刑事。マルヴィナス大統領の末娘でマジに箱入りなところが玉にキズ。

連絡先

A34-7251 ←首府警察刑事課(署に着歴が残る)

76D-4A22 ←マルヴィナス家(使用人が出る)

主な登場話

煌めきの麗嬢刑事

清教会の対怪異最終兵器

超合金パーツと生体ユニットからなる機械化生命体……という"設定"の清教会の司祭。通称"P坊"。(本人は否定するがホントは生身の人間)怪異事件が専門で戦闘力も法力もピカイチ。

連絡先

58D-6581 ←搭載した通信機に直通(らしい)

主な登場話

霊舞踊るディスコ

脂汗の輝きに満ちた中年

テラレジオ・ポスト首府分社のトップでカノンの上司。以前は本社にいたがどうやら左遷されたらしい。妻子から不憫な扱いを受けている。

連絡先

63B-5298 ←テラレジオ・ポスト首府分社(常にオフィスにいる)

主な登場話

いろいろ

首府警察の万年ヒラ刑事

シルビーのバディ。難事件に遭遇する度「王様案件」といって仕事を押し付ける職務怠慢デカ。「ボス」の名は本名「クリヤボス」から取ったもので本人はヒラ。

連絡先

A34-7251 ←首府警察刑事課

(署に着歴が残るのでゴニョゴニョな話は公衆電話から掛ける)

主な登場話

煌めきの麗嬢刑事

雑貨屋店主もとい怪盗キャリ子

手作り雑貨店「Domo Alia Kato」の店主であると同時に世間を騒がす怪盗キャリ子であり、贋作師としての顔も持つとんだ猫かぶり女。王珠を盗んだことがある。

連絡先

222-32AB ←雑貨屋「Domo Alia Kato」兼工房

主な登場話

猫かぶる怪盗店主

軍人堅気なテラレジア共和国大統領

本名トッド・マルヴィナス。マルヴィナス家の家長で大統領。元陸軍第一師団長で、ひょんなことから臨時で大統領に就いたがなまじ国民人気があるのでそのまま落ち着いてる。

連絡先

E85-3A7B ←大統領府の非公式電番

76D-4A22 ←マルヴィナス家(使用人が出る)

主な登場話

東方より王来たる

人気絶頂のアイドル 愛称〝メルメル〟

かわユい歌と踊りで大人気の国民的アイドル。花も恥じらう17歳。執拗な脅迫状の被害に遭っていたところを解決してやった。(『歌姫は透明に消ゆ』)

連絡先

レコード会社「ステルレコ」 ←マネージャー

2F3-1857 ←下宿の電番

主な登場話

歌姫は透明に消ゆ

テラレジア・クロニコ

『テラレジア・オーダー』の前作。本作の1年前、アーク&フェルドが出会った頃からのお話。非常に難解かつトリッキー、たまにメタフィクショナルな作品構成は連載当時から話題だった、雨宿拾遺物語の問題作。


テラレジアの歩き方 1982年版

作品の舞台となる国「テラレジア共和国」にまつわるあれこれをまとめたガイドブック「テラレジアの歩き方 1982年版」を特別公開!これを読めばあなたもテラレジア通……!?


読切短編「アーク&フェルド」

『テラレジア・クロニコ』の原案となった読切短編「アーク&フェルド」。

太陽通りの一番地で頽廃的な生活を送っている王家の末裔アークとテラレジア一の喧嘩屋フェルドは、新聞社の新米記者カノンが持ち込んだ記事で、百貨店の高級ブランド品が次々に盗まれている事件を知る。事件の真相を探るため、彼らは百貨店「エクツェレンツォ」を訪れるが……。