第23号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

夏バテです。

厳しい太陽の光に当てられた僕はすっかりバテてしまいました。近頃の夏は本当に暑い暑い。

「地球温暖化」の一言で片づけてよいものだろうか、なにか「夏」というものからロマンすら奪ってしまうような、そんな暑さが襲ってきているような感じがします。

昼間の日射を避け、活動時間は夜にズレていきます。それとは反対に、朝からじりじりと上昇する気温が安眠を妨げます。

恐ろしい怪物がこの雨宿を滅ぼそうとしているのではないか?そうとしか思えない。

汗ばんだ身体をシャワーで洗い流し、下着だけ身に着けてそのまま部屋を徘徊している。ふと、目に入った姿見に仰天する。

なんと怪物はそこにいたのです。


『超越のみさき』再編集版を公開!

突然ですが、「神様」って信じますか?

もちろん答えは人それぞれ。ですがこの問いかけが通用するのはとても日本らしいとも言えます。

海外の国々では神様は信じる信じないの話じゃなくて、そもそも「いる」ものだという共通認識があります。世界人口でみたらそう考えている人の方が多いでしょう。


というわけで、

『超越のみさき』の再編集版『黎明』がリリースです。

これまでに「雨宿拾遺物語」で連載した第1話~第7話の内容を前編・後編の二部構成で再編集!原稿に大幅加筆修正を加え、神慮めでたく公開!全体的に読みやすくなった本作をどうぞよろしくお願いします。

この度公開した『黎明』は物語のほんの冒頭。だけどはっきり言って、ここに書いてある内容が本作のすべてでしょう。これまでに連載したのをもう読んだよ~って人も、これを機にもう一度読んでいただきたい。この先のストーリーを読み進める上でも、何度でも読み返していただきたい。そんな内容。


『超越のみさき』をジャンル分けするなら、「能力バトル系」……ではないです。別にそう思ってもらってもいいんですけど、そこは作品の核心ではないっていうか、何ていうか……。

アガタたち御先を地球上に生まれ出でさせた「超越さん」なる存在――すべてにおいて超越し、全くの正体不明……。それって、人間が信じるところの「神」と等しい存在でしょう。つまりは「超越さん」=「神」とそのまま読み替えてよいわけです。

その「超越さん」は御先を世に降臨させることで突然この世界に干渉を始めました。神話の世界ではなく、紛れもない現実の話。これまでの物理学が根底から覆され、御先をめぐって世界中の社会は大きく動き始めます。さて、どーする?

『黎明』のラストシーンと『源流』の予告でお伝えしている通り、御先は日本のみならず世界中で誕生しています。彼・彼女らはそれぞれに信条を持っていて、行動の指針とも言うべき信念があります。

だから、この作品のテーマは、

「まったくの未知の存在(=神)を前にして、それぞれはどう解釈し、どう向き合っていくか」という個々人の信条のお話なんですね。


明言しました、作品のテーマ。作品の「メッセージ」は最後までとっておくものですが、作品の「テーマ」は第一話で早々に公表すべきものです。だって、講演会でこれから何の話をされるのかいつまで経っても明かされないなんてイヤでしょ?そんな人、講演が下手すぎます。


新章『源流』は執筆に向けた準備中です。当初の予定通り公開できるように頑張りたいのですが、諸般の事情により延期されるかもしれません……いろいろありまして。どうあっても完結だけはさせるので、ホントに長いお付き合いのほど、どうかよろしくです。


前回までの『鐵軌の帝國』

(いつもの肘掛け椅子に男は座っていない。)

(椅子の正面に回ると、座面に走り書きのメモが置いてあった。)

『旅の一行がソルトレイクシティを発った頃、アメリカ合衆国政府は技士ロバート・グレイヒルの対応に追われていました。彼の発見は国内外に大きな衝撃を与えましたが、一方で時化を抑える研究は非常に価値のあるものでもあった。よって対応を決定するために、彼の研究成果をテストすることにしました。シカゴ近郊で行われた大実験で、見事原油掘削装置の時化を完全に止めることに成功した彼は、晴れて合衆国政府と社会にその名声を轟かせたのでした。一方、欧州の列強は彼の未承認の研究を破棄させるため大艦隊をニューヨークに送っていました。彼らが到着する前にニューヨークに渡って合衆国技士連盟に研究を承認してもらわなければならない。その一方で、最後まで懐疑的である保守派の術士たちを説得するため、彼らは先にルイジアナ州ニューオーリンズに行くことにしたのです。』

『結局、わたくしの正体は分からずじまい……そう考えていますか?本当はあなたはわたくしが何者であるかをご存知なのでしょう?』

『確証などなくてもよろしいではありませんか。その方がずっと希望に満ち溢れている。』

『わたくしは次の冒険に向かいます。心配には及びません。ここまで彼らの冒険に付き添ってくださったあなたに、わたくしから感謝申し上げます。』


連載作品・記事


お知らせ

『鐵軌の帝國』エピローグ公開予定!

ここまでロバートたちの冒険を応援してくれた読者のみなさんに感謝を込めつつ、エピローグを公開予定です!

エピローグは雨宿拾遺物語と公式YouTubeで公開予定!8月14日をお楽しみに!


『お嬢おか』夏祭り編クライマックス!

『お嬢店長おかしまし 中辻夏祭り編』の最終話は来月更新!ついに迎えた中辻夏祭り当日、みんなで協力して作り上げた夏祭りは一体どうなるの……?!

『お嬢店長おかしまし』第24話「夏祭りの夜」は9月4日に公開!


第23号

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