第13号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

「あなたの人生の中で一番大きな出来事は何でしたか?」


こんな質問をされたら何て答えましょうか。いろいろあって困っちゃいますか?ピンとくるものが無くて悩んじゃいますか?何にせよ、答えを一つ決めたとします。


「あなたはその時『これは人生最大の出来事になるだろうな』と思いましたか?」


と質問されたらどうしましょうね。

おそらく「いいえ」と答える人の方が多いんじゃないかな。「これからもっと大きなことが起きるかもしれない」と考えるのが自然ですからね。ただしこの場合はそれがハプニングだった時です。

そうではなくて「はい」と答えた人、その人は「人生最大の出来事」を自発的に起こしたのかもしれません。起業した時、今の奥さんを初めてデートに誘った時、何かのオーディションに応募した時……なんて。

「これを人生の転機にしてやる」という気持ちで臨んだからその人の今があるのでしょう。

誰かのそんな話があったらぜひとも聴きたい。聴いたあとにはよく見知った知り合いでも違う風に見えてきそうですね。でも要注意!雨宿拾遺なる者にあんまりドラマチックな話をすると、いたく感動して創作のネタにされますよ。

なんかこの話、前もした気がするなあ。

たしか、ちょうど一年前に――。


国立科学博物館協力 特別編&インタビュー

な、な、なんと!

国立科学博物館 筑波実験植物園様で開催される令和三年度企画展「きのこ展」の開催に合わせて、国立科学博物館監修の「お嬢店長おかしまし」特別編を掲載!

さらには植物研究部部長の細矢先生に菌類にまつわる深~いお話や同企画展の見どころをインタビューしてきましたよ!必見!!


1周年記念!雨宿拾遺物語の歴史を振り返る

こんにちは!

でしゃばりすぎる原作者、雨宿拾遺です。

今月号をもって本Webサイトも開設一周年です。正直こんなに続くと思ってなかった……ことはありませんが、これほどたくさんの方に読んでいただけるとは思っていませんでした。

改めてお礼申し上げます。

さてさて、一周年記念号ということですから、この場で本サイトの一年間の歩みを振り返ってみたいと思います。

「なんでぇたった一年ぽっちで達成感出しやがって」とお思いかもしれませんが、その時々で記録を残しておくことはあとから当時の自分がどう感じていたかを思い返すのに便利ですよ。

それでは参りましょう。


Webサイトの概要

「雨宿拾遺物語」(amayadoshiuistory.com)は毎月第一日曜日発行のWebフリーマガジンです。編集者は一人、雨宿拾遺。僕のことです。

毎月個人的にホットな話題をご紹介するほか、僕が描いたマンガや小説、「絵草子」を掲載しています(こっちがメインですね)。

2020年10月にWebサイトをオープン、創刊号を発行しました。以来、毎月欠かさず更新しております。Twitterアカウントともども今では多くの方にご覧いただいています。とてもありがたいことですね。


Webサイト開設までの経緯

本サイトの公式Twitter及び作者 雨宿拾遺のTwitterアカウントがいつからあるかご存知ですか?

2020年の5月です。そう、Webサイト開設前からTwitterで細々と活動していたんです。当時のつぶやきを見返すと、主にWebサイト開設に向けた経過報告とか、本格的な連載のスタートに向けた練習などの報告をしていました。

実際、2020年度に入ってから本格的な準備が始まりました。それ以前はというと、ぼんやりとしたイメージが頭の中にあるだけで今のような完成形の具体的なイメージがあったわけではないんです。

開設に向けて最初にするのはCLIP STUDIOのアップグレード。僕は普段CLIP STUDIOというデジタル画描く人御用達のソフトを使っておりますが、製品には安いのと高いのと二種類あります。イラストを描くなら安いのでいいんですが、マンガを描くとなると高い方が捗る。それはともかく、最初にやったことは「代金をコンビニで振り込むこと」になりますね。

それと並行して行ったのがWebページのデザイン。今の時代簡単にWebページをデザインできるサービスがたくさんあるっていうのに、雨宿は一からHTML,CSSを組み始めました。おかげでちょっと使いにくいけど、オリジナリティあふれる現在の雨宿拾遺物語があります。これからもWebページの改装はやっていきますよー。


世の中的に「夏休み」と呼ばれる期間はまとまった時間が取れます。Webサイト開設に向けた追い込みの期間。創刊号で掲載した作品たちはだいたいこの頃に描いたものです。今となっては定期連載が習慣になってますが、当時はほとんど経験がないので「これって本当に続けられるのかなあ」なんて不安がよぎったり。とりあえず一年間は続いたよ、過去の自分。

来たる10月4日にWebページが開設、創刊号が発行されました。最初に見てもらったのは何人かの友人。「こいつまた変なコト始めたんだなあ……」といった具合で生温かい目で見守っていたことでしょう。多分今もそうでしょう。友人から感想を聞くことはほとんどありませんが、それでも毎月ちゃんと見てるみたいなんで、ツンデレなのでしょうか?


ところでどうして「雨宿拾遺物語」という名前なんでしょう。そりゃもちろん雨宿拾遺が編集してるから「雨宿拾遺物語」なワケですが、訊きたいのはその理由。

このネーミングを決めるにあたって参考にさせていただいたWebサイトがあります。それは『ほぼ日刊イトイ新聞』、通称『ほぼ日』。『ほぼ日』を作った人が誰かって、すぐ分かりますよね?だってタイトルに名前が入ってるから。百歩譲って「重里」であることを忘れたとしても、「糸井」であることは忘れないでしょ!?

このWebサイトも同じような理由でタイトルに編集者たる僕の名前が入っています。『お嬢おか』はこのWebサイトの看板作品であり、結子店長はこのWebサイトの看板キャラ(名物店長)たる側面を持ってはいますが、あの作品がWebサイトのメインではない。WebサイトはWebサイトでブランディングする必要がありました。そういうわけで分かりやすいのにしたつもりです。

まあまあふざけたネーミングですが、00年代の個人ブログなんてふざけたタイトルばっかりだったでしょ?僕はあの頃の空気感が大好き。現代のSNSが「座ってるだけで寿司が流れてくる回転寿司」なら、当時のネットサーフィンは「お気に入りを探して歩き回るフリーマーケット」みたいな雰囲気なんですよ。受容者の側が能動的に動いて情報を集める、それが現代のインターネットとの違い、そんな気がします。「雨宿拾遺物語」はそんな精神を受け継いでいるので、わざわざ令和の世に個人Webページという形態を取ってるんだ。

そんな雨宿拾遺物語、友人からは「宇治拾遺物語みたいなやつ」と呼ばれています。ぐすん。


特別号の発行

これまで「特別号」と称して発行したのは2021年8月の「夏休み特別号」、今月の「一周年記念号」、それからクリスマスに更新したクリスマススペシャルコンテンツ。

これらはマンネリ化を防ぐためにやってみたものです。それと何事も季節感が大事だからね。楽しんでくれたかな。

今後も年二回を目安に特別号と称してスペシャルな企画をお送りしたいと考えております。企画もそうですが、僕が顔を出すおまけマンガが掲載されるのも特徴ですね。「原作者がたらたら語るだけのマンガにどんな需要があるんだよ」とか自分でも呆れちゃいますが、みなさんもマンガの巻末おまけは好きですよね?ああいった感覚で、僕が普段どんなことを考えながら書いてんのか知っていただけたらそれでいいのです。

僕自身がどんどん新しいことやらないと退屈してしまいますので、これからも特別号は大切にしていきたいですね。


掲載作品について

作品一覧のページもここ一年で充実しましたね。初めの頃は「スペシャル」の項目なんか、とりあえず用意したけど何に使うか皆目見当もついておりませんでした。

「マンガ」は毎月精力的に更新しておりますね。

「絵草子」はいろいろ検討中です。『みさき』については原作の再構成作業を行っております。もうすぐ新章突入。

「小説」は最近滞っていますね……。短編が少々貯まってきたのでいずれ短編集を出したいところ。それから昔書いた長編もあるにはあるんですが、公開に向けた作業がいろいろ必要なため、公開の目途は立っていません。作者としては結構好きなやつなんだよね。多少刺激的な表現もできちゃうのが良いところ、時たま掲載していきたいです。

「イラスト」は毎月の表紙・裏表紙の更新がメイン。イラスト置き場には何かの折に描いたものを順次追加していきますが、Twitterに公開したラフ画の類は完成作品とは言い難いので、Twitterだけの公開にしておきます。必見。


『お嬢おか』という作品

この作品の話も少しだけしましょう。原作者があれこれ語るべきではないと思いつつ、ついつい語りたくなってしまうもの。

『お嬢(じょ)おか』(この略称流行らせたい)はうちの看板作品、という立場にいます。

この作品のコンセプトはそれなりに前からありました。初期のコンセプトアートが作成された日時は定かではないんですが、連載開始の1年以上前からあったみたいです。脳内での初期構想となるとさらに遡ること1年前くらいからはあるんじゃないかな。

一方で、作品の世界が急激に広がっていったのは連載開始半年前、2020年の春頃から。『お嬢おか』が他の作品と違うところは、他作品が開始時点で完結までのプロットを組んでいるのに対し、この作品は書きながら世界を広げている最中だということ。これからどういう物語を描いていくのかは原作者も知らないのです。とても新鮮な感覚で、僕自身毎話描くのが楽しみです。


『お嬢おか』を描く上で一番最初に決まっていたことは店長でも舞台設定でもなく、テーマ。「心の交流」「学問を学ぶこと」この二つを軸に考えたら自然と世界観が定まっていったという感じ。今ではこれ以外あり得ないなってくらいしっくりきてますね。


結子店長は俺の嫁です。(今じゃ「俺の嫁」って言う人減ったよなあ……「推し」って便利な言葉ができたからね)「じゃあこういう女の子がタイプなんですか?」と訊かれると、違います。だいたい、僕はポニテ好きだって前から言ってるじゃないですか。……いやそりゃあ、好きか嫌いかで言えば大好きだけど。ていうかみんなも好きでしょ!!

「理想の異性」というより「理想の人間」と言うべきですね。夏休み特別号のおまけでこんなことを言ってました。

プロのマンガ家さんなら誰でも一度はされたことがあろう、「自分の描くキャラクターの中で、自分自身に一番似ているのは誰ですか?」という質問、僕だったら「結子店長」と答えますね。もちろん、僕は大企業の会長令嬢でもなければ女子高生でもありませんが。

自分と似ているところもあり、それを超えた理想的な人格を持つ。つまり僕は、他の登場人物たちみたいに彼女を尊敬しているんです。周囲の人々を大切にしていて、確かな能力に裏付けられた自信があって、子どもっぽくてかわいいところもある。人生というものに常に全力を注ぐ人が近くにいたら、憧れないはずがないですよ。ホントに。

店長然り他の登場人物然り、どう活躍させるかはすべて自分次第だと考えると、身が引き締まる思いです。


これからのこと

こんな大層な表題つけてますが、言うことは一つです。

これからも頑張ります!!!


お知らせ

新連載続報!!!

2021年8月に発表した新連載開始予定の続報です!

今回はタイトルとあらすじのご紹介!さらに、キービジュアルを公開!!

鐵軌の帝国

1885年、アメリカ合衆国。術士と平民の権利を巡り全土が戦火に呑まれたシヴィル・ウォーから20年、災禍を乗り越えた合衆国は世界一の大国として栄華を極める「黄金時代」が到来する。カリフォルニア州、サクラメントの若き電信技士が引き受けた任務はやがて国中を巻き込んだ大波乱に発展する。蒸気機関車に勇気と冒険を乗せ、大陸を駆け巡るクラシカル・アメリカン・ファンタジー。

「アメリカ」という時代を生きる。


連載準備中!お楽しみに!


『まがたび』作品ページリニューアルのお知らせ

『まがたび』作品ページをリニューアルしました。登場人物ページが追加されたよ!これでファンアートが描きやすくなったね!!!さらに、おまけも追加!


裏表紙

みなさまからのお便りお待ちしております。お便りはこちらから。

次回もお楽しみに!