おかげさまで雨宿拾遺物語は5周年です。
こんなに続くと思ってなかったよ。
どこかで終わりにすることを想定していたわけではなかったので、続けていればそりゃあいつかは5周年を迎えるはずなのですが、いざ訪れてみると感慨深いですね。これもすべて読者のみなさんのおかげです。
活動を続けていると難しいこともあります。もとよりたった一人で続けている活動ですから、人気が高まるほどに活動を拡大……といったこともできません。それどころか実生活の忙しさに伴って更新内容を変更せざるを得ない場合もあります。(5周年もホントはもっと盛大にやりたかった……)
それでも、続けていると楽しいことがたくさんあります。近頃はふとした時に昔の作品を読み返してみたりして「あぁ、あの頃の自分はこんなこと考えてたよなあ」などと思い返すと、これまで描いてきた年月を感じるのです。
この先もクオリティを維持しながらの更新は難しくなることもあるでしょうが、それでも活動だけは続けていきたい。そうすることでその先のいつか、「懐かしいなあ」と思える日が来るでしょうから。
今月で雨宿拾遺物語は5周年!毎月更新を続けてきたWebフリーマガジンは第61号まできました。
61号ということは、表紙・裏表紙もこれまでに61枚描いてきたということです。今月号ではそんな雨宿拾遺物語の表紙・裏表紙を特集していきましょう。
過去の表紙・裏表紙は以下のページから見ることができます。知ってた?
雨宿拾遺物語の表紙は毎号の「顔」としてページ内はもちろん、SNSでの広報にも使われています。
そもそも表紙・裏表紙が存在するのは「Webフリー『マガジン』っぽくしたい」という理由からです。確かにタイトルや号数、サブタイトル、が描かれていて雑誌の表紙みたいですよね。また、マンガという媒体の性質上、モノクロのイラストばっかりを描くことになるので、「定期的にカラーイラストを描きたい」という考えからも掲載を決めました。
表紙で描く内容は様々です。カテゴリー別に考えてみると「直近更新された本編のワンシーンを切り取ったもの」「季節感のあるイラスト」「そのキャラクターらしさを感じる一場面」「新しい画風にチャレンジしたもの」などです。(複数のカテゴリーに同時にあてはまるものもありますね)
大抵は一人ないし複数の中心的なキャラクターが描かれています。これは表紙をアイデアを練る時にまずはじめに「今月は誰をピックアップしようかな」と考えるところからスタートするからです。ピックアップするキャラクターは直近の本編でクローズアップされた人とか、単純にその時雨宿が気に入ってる人だったりします。
ここで「表紙ができるまで」と題して表紙を描く過程を見ていきましょう。例としてここ最近の表紙の中で雨宿が気に入っている第59号の表紙を取り上げます。↓ですね。
若い頃のお母様とお父様。これは言わずもがなお嬢おか中編「美北に生きた時」から第57話②の中のワンシーンですね。楽しそう。
第57話はこの表紙が出るひと月前の2025年7月号(第58号)に掲載されました。美北編、その中でも1999年のお父様・お母様を描いたお話は作者ながら大好きなので、このシーンを表紙にすることはすぐに決まったと思います。
描くものが決まれば次はラフスケッチです。表紙は画面上部にタイトル「雨宿拾遺物語」、左右どちらかにサブタイトルを入れますので、そのためのスペースは少し空けておきます。ここら辺はテンプレートが固まっているので配置に迷うことはほとんどありません。
ラフスケッチがまあまあうまくいけば細部は多少詰められていなくても清書に入ります(あとからどうにでもなる)。雨宿の画風といえば極太ペンによる力強いタッチですが、この表紙は夏の清涼感を表現するために細いタッチで描こうと決めていたので、鉛筆ツールをそのまま清書に採用しています。
陰影は強弱つけていますが、それにしても胸を強調しすぎじゃないか……?
背景は河原と山です。こういう人工物が少ない背景や殺風景な部屋の背景は描きやすくてありがたいです。
次は着彩ですが、キャラクターはいつも通りのベタ塗りベース(いわゆるアニメ塗りというやつ)、陰影で少々手間を加えます。背景は油彩ツールで適当になんとかします(いつもそんな調子です……)。背景のラフスケッチはちゃんと非表示にしてね。
こんな感じ。お母様の服は光沢感のでる特別な塗り方にしました。こんなワンピースを着こなせる女性……さすがです。
あとは光や水しぶきを描き込んでキラキラさせておきましょう。キラキラは正義です。
最後にタイトル等を加えます。本当は一番最初に配置だけしておいて、ラフスケッチ後はずっと非表示にしているのです。サブタイトルは表紙のイメージと「オープニングエッセイ 雨宿りの小噺」の内容をなんとな~く考えながら決めます。完全に気分です。
完成!
表紙を描くのは次号の更新作業の中で一番最初にやります。たまに描き忘れてて、スケジュール的に大急ぎで描くこともあります。計画性がない。
裏表紙は「次号予告」と銘打ってますが、ほぼ雨宿の独り言です。こういう形式にしたのはマンガの単行本にしばしば載っているあとがきを参考にしたものです。(時々手書きで書いてる先生もいますね。『銀魂』の空知先生とか。)
いつも表紙に関係したイラストが載っています。当初は墨汁を使って半紙に描いたものを取り込んで使っていました。いつぞやに半紙が切れてから完全デジタルに移行しました。よく見ると違いが分かります。
本物の筆を使って描いている方。細かいかすれがあったりする。
デジタルの筆ツールを使って描いてる方。輪郭がシャープ。
たまには墨で描きたいものですね。そのために必要なのは……習字セットを広げるために部屋を片付けることです。
ここまで表紙・裏表紙のお話をしてきましたが、書いていたら調子が出てきたので来月号もこの特集をします(今決めた)。
来月号では雨宿の印象に残っているいくつかの表紙・裏表紙を振り返っていきます。お楽しみに。
覚えていますか……5年前の10月4日を……。
ということで、雨宿拾遺物語は5周年を迎えました!去年の4周年+50号記念号からはや1年……そのことにも驚きです。
これまでのご愛顧に感謝しつつ、これからも続いていく雨宿拾遺物語をよろしくお願いします!