第60号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

黒猫、と言えばみなさん思い出すものは様々でしょうが、僕の場合はやはりBUMP OF CHICKENの『K』という曲の歌詞ですね。今月号のサブタイトル「生まれて初めての優しさ。」もその中の一節を借りています。


マンガ家なりイラストレーターなりは音楽を聴きながら作業をすることが多いだろうと思いますが、その時に何を聴くかというのはモチベーションはもちろん、出来上がりにも多少なりとも影響しているような気がします。「自分のお気に入りを聴く」という方は多いでしょうが、「いま描いているものに合ったイメージの音楽を聴く」のもいい感じです。舞台背景(時代、地域)、作品ジャンル、そのシーンの雰囲気……その時々でピッタリなプレイリストを選ぶと、自分の心が盛り上がり、筆もよく進むようになる(気がする)のです。ありがたいことに現代はいつでもどんな曲でも簡単に探して聴くことができますからね。

ただし、アニソンは要注意です。描いてる内容がモロに「引っ張られてく」感じがします……。


お嬢おか中編「皇ヶ崎学院生徒会」編開幕!

『お嬢店長おかしまし』の中編第5弾、『皇ヶ崎学院生徒会』編が連載開始です!


あらすじ

皇ヶ崎学院高等学校には、一般とは異なる入学方式の特進クラスが存在する。特進クラスの学生はあらゆる面で特別な待遇が与えられているが、一方で「学園祭への出店ができない」という不利な校則も存在した。この校則を改正するため、生徒会執行部役員と結子は夏の生徒総会に向けた一大キャンペーンを開始する。

それぞれの思いを胸に学校側と対峙する学生たち、学園の未来を拓く政戦が幕を開ける。


今回の中編の舞台は結子が通う高校、「皇ヶ崎学院高等学校」です。これまでにもクラスメートや生徒会の面々との交流が描かれてきた、作品の〝もう一つの舞台〟でもあります。

皇ヶ崎学院の文化祭「皇楓祭(こうふうさい)」をめぐってストーリーは展開していきますが……そもそも皇ヶ崎学院ってどんな学校なんでしょうね?ここでおさらいしておきましょう。


↑今や懐かしい第1話より


私立皇ヶ崎学院高等学校、通称「皇ヶ崎学院」は都原市街中心部にある私立高校です。(都原市は結子たちの住む中辻から電車で30分くらいのところにある大都市)

いわゆる名門私立と呼ばれるような高校ですが、「21世紀型アーバンスクール」と称する通り、比較的新しい学校で都心のビルが校舎になっています。例えば地下に駐車場、1,2階がエントランスとコンベンションホール、低層階に普通教室、中層階に食堂とバルコニー、高層階に特進クラスの教室(詳細は後述)、屋上に運動場があります。壁面はガラス張りなので、屋内の様子も「学校」というよりは「オフィスビル」といった趣き。

屋外のグラウンドはありません。体育大会などは近くの運動場を借りて行うようです。

制服は結子がいつも着ているアレです(キービジュアル参照)。冬服はブレザー。店長の仕事をする時はベストの代わりにエプロンをつけています。

余談ですが、雨宿は地方の学生だったので「ブレザー=都会、あか抜けてる 学ラン=田舎」というイメージがあります……


皇ヶ崎学院は県内一の偏差値として難関大学多数輩出の名門校ですが、最大の特徴は「特進クラス」の存在でしょう。

特進クラスは通常の入学方式で入ることはできません。学校側が保護者と個別に応対し、通常よりも高額な入学金と授業料が必要です。(金額は公開されていません。おそろしや……)毎年一クラス分に満たない人数が特進クラスに入学し、B組またはC組になります。(A組を特進クラスにすると「学級のABCが格付けにみえる」との懸念から敢えてA組を外しているそうです。)

特進クラスは少人数高度教育を是とし、生徒一人一人の状況に沿った細やかな指導方針が取られています。こう聞くと「とっても厳しそう……」と思われるでしょうが、実際のところはその逆で、それぞれの事情を汲んでかな~りゆるくやっているそうです。

特進クラスの生徒と一般クラスの生徒が関わることはあまりありません。特別教室や図書館、食堂で出会ったり、一部の生徒が部活動に所属して一緒に活動していることはありますが、合同での授業はありません。そして何より、教室があるフロアが違います。一般クラスが低層階にまとまっているのに対し、特進クラスは高層階にあります。意図的にあまり接触しないように作られているのです。

なぜなら、特進クラスの生徒はみんな裕福で名のある家庭の出身ですから、余計なトラブルに巻き込まれないようにするためです。

「最高の環境で学び、未来の日本を担う人材を育てる」、それが皇ヶ崎学院のモットーです。


皇ヶ崎学院が特殊な学校であることは十分理解していただけたと思いますが、果たしてそこで学ぶ生徒たちはどんな思いを抱いているのでしょうか――。それはここで語りますまい、本編をお楽しみください。

『お嬢店長おかしまし 皇ヶ崎学院生徒会編』は今月号より全4回で連載です。よろしくね。


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