現実にこんな企画会議をビデオ通話でしているわけではありませんが、登場人物からすれば作者にモノ申したいことは多いでしょう……。
よく作り手の方がおっしゃる言葉に「登場人物たちが勝手に物語を描いてくれる」というものがありますが、これについて僕は半分だけ同意ですね。
結局のところ、物語の中身について猫も杓子も決めているのは作者の脳みそなんですから、作者として「このストーリー展開を選んだ責任」という業(カルマ)は常に背負っておいた方がいい気がします。言うなれば「製造物責任」ですね。
その一方で、登場人物の人格が作者とは別の場所に確かに存在しているような気もします。僕は台本を書いている時に「いや、コイツ(登場人物)はこんなこと言わんだろ」とひとりごとをつぶやくことがあります。まるで友達か何かのように、近くに立っている気がするのです。
「ちょっとした趣味」のつもりで始めた活動が、丸4年。"彼ら"も喜んでくれてるといいなあ。
雨宿拾遺物語4周年+第50号記念その①として、新作マンガ『テラレジア・オーダー』が発表されました。
雨宿拾遺物語が2023年に公開した作品『テラレジア・クロニコ』の続編にあたる作品で、お馴染みのキャラクターが颯爽登場です。
今回はそんな新作の紹介に……"あの人"をお呼びしました!
それではよろしくお願いいたします。
はじめまして……ではないかもしれないけれど、『はじめまして』。
僕はローガン・モルド。ただのローガン・モルドだよ。時代遅れな感性に身を包んだ姿はある意味作品の「顔」なワケだけれど。
約一年の時を経て、彼らが戻って来たみたいだよ。
その名も、『テラレジア・オーダー』。
「こいつらは誰だ」って人のために説明をしてあげよう。そのために僕はここにいるんだからね。
時は遡り2023年10月、このWebサイトで『テラレジア・クロニコ』というお話が公開されたんだ。どんな作品かっていうと、
1980年代の前半、大陸の西端で大西洋に面した小さな国、テラレジア共和国。非凡な力を持ったテラレジア王家の末裔アークとテラレジア一の喧嘩屋フェルドの二人は、この国にのさばる悪人共を王の威をもって須く罰するための戦いに身を投じていく、シュルレアリステッィク王政復古クロニクル。
ということだよ。これは作品ページの紹介文をそのままひっぱってきたのさ。なにはともあれ、ここで全部読めるんだからそれ以上の説明は要らないさ。
そして、今回発表された新作『テラレジア・オーダー』はその続編にあたる。前作『クロニコ』から一年後が舞台なんだ。
続編っていうことは、前作を読んでいないとストーリーが分からないんじゃない?と思うのはとてもまっとうな感想だけど、実を言うと、今作は『クロニコ』を読んでいなくても楽しめちゃうんだよ。
というのも、「続編」といいつつ、実のところ「世界観とキャラクターを引き継いだ新作」という方が正しいからなんだ。どういうことか説明しよう。
くわしくはネタバレになっちゃうから言えないんだけど、前作『クロニコ』は作者をして「雨宿拾遺物語史上最も難解」と言わしめるほど複雑な一本のストーリーなんだ。
ネタバレをまったくおそれないのならば、"とある人たち"が解説をしてくれているから読んでみるといいよ。これでも随分分かりやすく説明したつもりなんだけどね。
一方の新作『オーダー』は基本一話完結の読み切り。主人公のアークとフェルドが毎回様々な事件に巻き込まれたり首を突っ込んだりするお話なんだって。ストーリーが前作と直結しているワケじゃないから、こっちを先に読み始めても全然問題ないってワケ。それどころか、一話完結だからどのお話から読んでもいいんだよ。基本的な世界観とメインキャラだけ覚えておけばね。
じゃあその「基本的な世界観とメインキャラ」についてここで紹介しようか。そのために僕はここにいるんだってば。
物語の舞台は1980年代前半のテラレジア共和国。1980年代というと、これを読んでいるキミは生まれていないかもしれない。だけどそれも問題じゃない。「テラレジア共和国」という国は架空の国なのさ。
ちょっと世界地図を開いてくれるかな。日本から地球の裏側、大西洋の辺りを開いて……テラレジア共和国はこの辺りにある国という設定なんだ。
暖かく乾燥した気候の下、西ヨーロッパ由来の文化や北アフリカのイスラーム芸術、ラテンアメリカの陽気なリズムやアメリカのロックンロールが入り混じった不思議な国なんだよ。そしてどこか、昭和ちっくなノリもあるらしい。
ま、詳しい話は「テラレジアの歩き方」という本があるから読んでみてよ。
そんな国で活躍するのは『クロニコ』からお馴染みのこのメンバー。おや、どうやら装いが新しくなったみたいだ。作者のコメントも届いているよ。
かつて存在したテラレジア王家の直系の子孫にあたる。王政廃止に伴い、王家は辺境の島に100年間の流刑に処された……が、このたび100年が経過したので首府に舞い戻ってきた。それ以来、太陽通りのとあるアパートの3階を拠点に、相棒のフェルドと共に「王政復古のための戦い」を続けている。
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アっくんです。アークの着ている服はテラレジア王の装束……ではなく、本人が「それっぽい」と思う服を着ているだけです。
以前この作品のキャラをファンの方に描いてもらったことがあるんですが、その時のアークの背中にあるスカーフのなびき方を見て「これだ!」と思いました。なので今作ではスカーフがよくなびきます。
ちなみに彼の髪型がオールバックなのはこの方が王冠を戴いた時に似合うからです。まだ一度も被ったことないけどね。
いろいろあって10年間の懲役刑に服していた(本当は無実)が、めでたく刑期満了で出所した。この日はちょうどアークが100年の島流しから帰って来た日で、これまた偶然その日に出会ってしまった二人は、首府の下町から「王政復古のための戦い」を始める。
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フェっちゃんです。今作では一張羅であちこち出歩くため、ワイルドながらもちょっと上品さを感じられるようにしました。彼の髪色は元々明るめの茶髪だったんですが、11年前の事件で捕まってから色が抜けました。髪を塗りつぶす手間が省けてよいのです。
大手新聞テラレジオ・ポスト社の首府分社(アーク&フェルドが住むアパートの下の階にある)に勤める記者。「王の活躍を知らしめる」という目的のもと、二人の活躍を描いた連載記事「テラレジア・クロニコ」を執筆している。(ほぼ実録の「記事」だが、ほとんどの読者は「小説」だと思っている。)
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カノンちゃんはメインキャラの中でも一番服装が変わりました。本人が「記者っぽさ」を目指した結果、帽子が追加されました。元々垢抜けない感じの見た目でしたが、首府での生活の中で少し垢抜けたみたい。以前襟元につけていたアクセサリーはパパとおそろいのものでしたが、Newバージョンでは髪留めとしてつけています。
テラレジア清教の尼で、太陽通りの坂のてっぺんにあるサンルーモ教会を管理している。一年前は清教の総本山、バロン大聖堂で修行の身だったが、修行を終えて今の教会に赴任した。尼僧のくせにアークと親密な関係にある破戒尼(あくまで〝プラトニック〟らしいが、それでもダメなものはダメ)。
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「プリンセス」ことエリセアさんはこの度バロン大聖堂で尼の修行を終え、太陽通りの教会に赴任しました。つまりアーク&フェルドのご近所さんです。尼である以上元々の装束からあまりかけ離れるワケにはいかないので前と似ている装い。そして性格も相変わらずです。
テラレジア共和国の前大統領。いろいろあってその座を退き、今は行方知れず。元はと言えばアークたちの敵みたいな存在だったのだが、それも今は過去の話。どこにもいないのに、どこにでもいてそばで見守っている……気がする。
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みんな大好き「裏主人公」、ローガンは今作もバリバリ登場します。さらにゴテゴテした格好です。度々どこからともなく現れてはアークたちに助言(ちょっかい?)をかけますので、お楽しみに。
僕もいるじゃないか。そして「ちょっかい」って何だよう。それにしても元気そうで何よりだ。みんなとても勇敢で芯が強くとてもやさしい、僕の大好きな子たちだよ。
これ以外にも、毎話個性豊かなゲストキャラが登場するんだって。
それでは最初のお話を少しだけ覗いてみよう。タイトルは「歌姫は透明に消ゆ」。
なんだか第一話から大層な事件に巻き込まれているみたい。解決のカギは「オーダー」にあり。
ちなみに、今作ではこんな風にいろんなキャラクターが代わりばんこに次回予告をしてくれるんだって。昔のアニメみたいだね。
ところで、題名にもなっている「オーダー」だけれど、『クロニコ』を読んだキミならとある組織の名前、及びその組織の作戦名が思い浮かぶはずだね。ところが、この場合の「オーダー」は違うものなんだ。
「アークの必殺技」、ひいては「人間の意志の力」とでも言おうか。お話を読み進めれば分かってくるはずさ。何も一度に理解する必要はないんだからね。
今回の僕の役目はこれでおしまい。最後に一つだけお知らせ。
『テラレジア・オーダー』は不定期連載の予定だ。作者曰く「一話一話時間をかけてじっくり作り込んでいきたい」そうだよ。その代わり、どのお話も映画を一本見たような味わい深いものに仕上がっている……はず。だから気長に待ってあげてね。
新作『テラレジア・オーダー』は雨宿拾遺物語第50号より連載開始、発行は11月3日。おたのしみに。
それではマンガの中でまた会おう。
先月からお伝えの通り、来月号では雨宿拾遺物語の4周年と第50号をお祝いする記念号の発行が予定されています。
……ですが、本当の4周年は今月です。
2020年の10月4日、このWebサイトはひっそりと活動を開始したのです。
あれから四年、いろいろありました。それでも変わらないのは、応援してくださっているたくさんの方に支えられているということです。
感謝を込めまして、来月号をおたのしみに。
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次回もお楽しみに!