第26号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

僕にはかなり遠くへ行ってしまった旧友がそれなりにいます。(天国じゃないよ!)

それでも時々話をしたりしますし、連絡を取らずとも日々の動向はインスタグラムなんかを見れば分かります。元気そうだなあ、と。

冷静に考えてみると、一万キロメートル彼方の人と声を交わせるなんで、不思議じゃないですか?まるですぐ隣にいるみたいにさ……

現代っ子はこんなこと露ほども思わないのかもしれません。でも一度気付いてしまうと、この奇妙な感覚に囚われて、どうにも、居ても立っても居られないような気持ちになってきたり。

思えば僕の作品をここで読んでくださっている方々も、日本のあちこち(もしかしたら海外も?)にいて、同じものを見てるんですね。不思議なものです。それは確かに存在するものなのでしょうか、それさえ疑えてくるような気持ちにもなる。

あなたは今、そこにいますか?


小学校の図書室で読んだ本

今月は雑談です。


みなさんは本を読む子供だったでしょうか。

Web上でどこの馬の骨が投稿している読み物を読んでいらっしゃるくらいですから、さぞ活字中毒なのではないかと思われますが、それはさておき。

今月のこのコーナーは若かりし頃の雨宿少年が小学校の図書室で読んでいた本を思い返してみます。

なぜかと問われれば、『そんな気分』だからです。


再三申し上げている通り雨宿は21世紀生まれですので、2000年代後半~2010年代前半に小学校時代を過ごしました。とはいえ、今も昔も図書館に置いてある本というのはあまり変わらないものです。だから今から挙げる本の中にも世代の違うみなさんでも「読んだことある!」というのがきっとあるでしょう。


図書室に通い始めた一年生の最初期に読み始めたのは原ゆたか先生の『かいけつゾロリ』シリーズ。

もう説明不要、王道ですね。

図書室の入ってすぐの一番目立つ本棚にあって、既巻をすべて読みつくしました。毎回ワクワクしてたな。何と言ってもすごいのは今でも描き続けている原ゆたか先生の体力とイマジネーション!文句なしの絵本作家のレジェンドでしょうね。


その隣の本棚には尼子騒兵衛先生の『落第忍者乱太郎』。NHKで放送している『忍たま乱太郎』の原作ですね。アニメと相まって大人気のシリーズで、ほとんど読んだと思う。先生の忍者・忍術に関する徹底的な取材力が素晴らしいですね。

ちなみに、『忍たま乱太郎』になぜか「大きいお姉さん」のファンがたくさんいることを知ったのはずっと後になってから。


マンガつながりで言えばその本棚の裏にあった『はだしのゲン』もちゃんと読みましたよ。なぜか全国の小学校に必ず置いてあるかの作品、今も昔も論争の種になって止まない一作ですが、それはそれとして1970年代のマンガとしてはすごくクオリティが高いと思いますよ。


『学研のまんがひみつシリーズ』は当然読んでます。僕の代表作は『お嬢店長おかしまし』ですが、多分にひみつシリーズを意識しているのはもう言うまでもないでしょうね。マンガを通して社会見学ができる、これ最高。


ホラー系統で言えばポプラ社の『学校の怪談』シリーズや、『学校のコワいウワサ 花子さんがきた!!』『怪談レストラン』シリーズは読めるだけ読んだ。実は雨宿、

ホラーが大の苦手です。

子供の時に見たホラーは強烈ですね、このシリーズは大の大人になった今でも怖い。そして楽しい。


推理小説で言えばアーサー・コナン・ドイルの『シャーロックホームズ』シリーズと江戸川乱歩の『明智小五郎』シリーズは読んでます。作中年代が古いので生活文化や細かいデティールは分からないのに、それでも楽しめる。あの手のシリーズが今でも子供たちに大人気なのを見るに、作品を書くときに「古い世界観は理解してもらえないんじゃないか」なんて思うのは杞憂なんでしょう。


集英社のまんが伝記シリーズは読み漁ったね。だいたいの子供にとって歴史に興味持つきっかけってコレなんじゃないかな。作画の人によって絵柄もいろいろあって面白いんですよね。ショパンだのモーツァルトだの、音楽家系はだいたい少女マンガ調の絵柄だよね。


絵本は大きくて持って帰るのが大変だし、そもそも家で読むほど長い内容じゃないので借りませんでした。「じゃあ図書室で読めばよかったのでは?」と思うでしょうが、小学校高学年ともなると「絵本を読むのは恥ずかしい」みたいな謎の空気感があったのです。もったいないね。

『ねずみくんのチョッキ』『ぐりとぐら』『11ぴきのねこ』『あらしのよるに』『おまえうまそうだな』あたりは定番だけど大好きです。『100万回生きたねこ』は大人になった今こそ感慨深いものがあるよね。『はらぺこあおむし』は図書室で借りるまでもなく、家にありました。


小説もいろいろ読みました。

『ハリー・ポッター』は小学生の頃に映画が完結して、原作もきっちり読みました。

宗田理の『ぼくら』シリーズはなぜかいつの時代も人気ですね。当時は「全共闘?なにそれ?」という状態でしたが、単純に今も昔も変わらない「子供の心理」の核心を突いた作品なんでしょうね。

はやみねかおるの本も読んでます。小学校で読んだのは『夢水清志郎』シリーズ、『都会のトム&ソーヤ』は中学生になってからだったと思う。『怪盗クイーン』シリーズは読んでない。なんでだろう。

ダレン・シャンの『ダレン・シャン』シリーズ。これも定番。吸血鬼モノとしては日本の作品にも多大な影響を与えた、そんな作品だと思います。子供にはちょっと刺激が強いけどね。同じ作者の『デモナータ』も一応読んだけど、よく覚えてないや。


何より忘れちゃいけないのはエミリー・ロッダ先生の『デルトラ・クエスト』シリーズね!!!もう大好き!!!

あれ「表紙がかっこいいから」ていう理由でみんな借りるんだけど、全巻読破したのはクラスで雨宿だけでした。みんな読めよ!!!

『デルトラ・クエスト』、実はアニメもあるんですよ。65話。もちろん全部見たよ。原作は重厚なファンタジーなんだけど、アニメは日本らしい冒険ファンタジーに仕上がっててあれはあれでいい。ヒロインのジャスミンって子は原作だとよくあるおてんばな女の子って感じなんだけども、アニメではジャパニーズツンデレとして昇華されててかわいかった。あと後半に出てくるネリダって女の子、原作だと性悪な悪女で最後には因果応報的に死んでしまうんだけど、アニメではかわいい小悪魔系女子になってて生存ルートで、さらにオリジナル展開で再登場するという、雨宿少年はドキドキしてしまいました。

同じ作者では『リンの谷のローワン』も読んだけど、こっちはあまりウケなかったかなあ。


あと他にもいろいろ読んだと思うんだけど、もう忘れちゃった!

今のお子様もYouTubeやゲームだけじゃなくて、本を読んでほしいなあ。


余談ですが、ド定番だけど僕は読まなかった作品。

星新一のショートショート……たぶん図書室に無かったと思う。もしくは見落としてたか。

『黒魔女さんが通る!!』シリーズ……女の子向けだと思ってた。実際うちの学校では女の子しか読んでなかった。

『ズッコケ三人組』シリーズ……巻数が多いのでいつか読もうと思ってて、結局読めず終い。

『指輪物語』……途中で飽きた。あれは子供向けではないと思う。


連載作品・記事


お知らせ

『超越のみさき』連載休止のお知らせ

雨宿拾遺物語で連載中の作品『超越のみさき』について、誠に勝手ながら連載を休止させていただきます。

本作は2022年冬より新章『源流 ロシア編』を連載予定でしたが、諸般の事情により公開を延期させていただく運びとなりました。読者の皆様にはお詫び申し上げます。

連載休止の期限は現時点では未定です。

2022年11月までに公開した内容については今まで通り公開を継続します。

2022年11月6日 雨宿拾遺物語


第26号

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