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大統領秘書ロディヤ・ハイルモンドの作品案内

本編の公開に合わせて『雨宿拾遺物語』各号で掲載された、大統領秘書ロディヤ・ハイルモンドによる作品の紹介&各章予告ですわ。


第1回(2023年8月号掲載)

みなさま、お初にお目にかかります。

こちらは雨宿拾遺物語で10月から始まる新連載マンガ『テラレジア・クロニコ』の作品紹介です。

あたくしは案内役を務めます、テラレジア共和国大統領の秘書、ロディヤ・ハイルモンドと申します。どうぞよろしくお願いしますわ。


さて、先月突然発表された雨宿拾遺物語3周年企画の新作『テラレジア・クロニコ』は、みなさまご存知でしょう。予告では「まさかの週刊連載」を発表され、一体どうなることやら、あたくしも期待でキュンキュンですわ。

10月の連載開始はまだちょっと先ですけれど、この特集では作品の舞台、あらすじ、登場人物をドーンと紹介しちゃいますわよ。先月号で公開したキービジュアルを見て「男二人主人公なの?ヒロインはいないの?」と思ったおませさんもいらっしゃるでしょうね。ちゃんといますわよ、二人も。……あれ?あたしも入れて三人じゃないの?まあいいわ。

それでは順番に見ていきましょうね。


キービジュアル

こちらが本作のキービジュアルです。タイトルになっている「テラレジア・クロニコ」は直訳すると「テラレジア年代記」。そういう名前の歴史書があるんですのよ。そこから取っているんですね。

二人の素敵な殿方に、テラレジア共和国の街並み……この紋様は何かしらね。


作品の舞台 テラレジア

作品の舞台は1980年代前半のテラレジア共和国です。大陸の西端にあって、大西洋に面した人口二千万とちょっとの小さな国ですわ。

こう言われてもピンときませんか。では世界地図を開きまして……


この辺りにあります。スペインやポルトガル、モロッコなんかが近隣の国、海を挟んだ向こうに南北アメリカが広がってます。それからフェデライト共和国って国がお隣にあります。……ああ、みなさまの住む世界にはありませんよ?架空の国ですの。……ウフ、言っちゃった、あたしテラレジア国民なのに。

海も山も青く、暖かい気候に自然の恵みが豊かで、人はみんないい方ばかりですのよ。そりゃあもちろん、経済的にはまだまだな部分もありますけれど、この頃の日本と比べたらどこもそうでしょう?

テラレジアの文化はかなり「寄せ鍋」って感じですわね。西ローマ帝国の崩壊後に興った国であるテラレジアは、土着の文化は近隣のイベリア半島圏(スペイン・ポルトガル)に近いと言われていますが、中世に入ると北アフリカのイスラーム圏やフランス・イタリアのキリスト教圏の文化が流入しましたし、テラレジア王国が最大版図を誇った大航海時代にはアメリカ大陸から様々なものが輸入されました。近代に入ると再び西欧圏の影響を強く受け、王政廃止後の20世紀に入るとアメリカ合衆国のモノも文化も大量に流れこんできました。とまあ、いろいろな文化が混ざっているんですの。そうそう、現代では日本の家電が庶民の憧れですわ。

今の話にも出てきましたけれど、テラレジアは今は共和国ですが、およそ100年くらい前まではテラレジア王国といって、万世一系の王家が治める国でした。そしてそのテラレジア王家が、この作品の一番の肝と言えますわね。

あたくしたちの国、どういうところか分かってくれましたか。もう少し具体的なイメージを御所望なら、Googleでアンダルシアやモロッコの風景を調べてみるのもいいかしら。……ウフ、言っちゃった、Googleってこの時代はまだないのに。


あらすじ

ここでおしゃべりになるのは野暮ってものでしょうから、用意された原稿を読み上げるだけにしておきますわ。来月号ではもっと詳しくお話しできると思います。


西ヨーロッパから北アフリカにかけて広大な版図を手にし、アメリカ大陸まで影響力を持った強大な王国、テラレジア。時代と共に覇権を明け渡し、十九世紀の隣国フェデライトへの敗戦を期に王政が廃止、テラレジア王家は辺境の孤島に一世紀の流刑を言い渡された。

時は遷って現代のテラレジア共和国、ある男が初めて首府の土を踏んだ。失われたはずの王家の秘宝、王珠を手にしたアーク・ウエスト・〝テラレジア〟こそ、100年の時を経て本土に舞い戻った正当な王家の末裔であった。それと同じ日、「テラレジア一の喧嘩屋」ことフェルド・スターも10年の刑期を終えて刑務所を出所していた。何のえにしか出会ってしまった二人は王の威光を取り戻すため、我が物顔で振る舞う悪党共を須く罰する戦いへ身を投じる。一方、そんな二人に出会ったひよっこ新聞記者のカノン・ライカは二人の活躍を記した現代版・王国の年代記『テラレジア・クロニコ』の執筆を担うことになる。


登場人物

今回紹介するのは作品の中心的な登場人物である5人です。左から順にご紹介します。


アーク・ウエスト・〝テラレジア〟様。アーク様はその名の通り、この国を興したテラレジア王家の正統な子孫ですの。王家は王政廃止以来、大西洋の島に一世紀の流刑にされていたのですが、こうしてちょうど100年経った今、約束通り本土に戻ってきたというわけですわね。アーク様の夢は王政復古を成し遂げ、自らが玉座に就くことだそうです。やっぱり殿方の夢は大きくなくっちゃあ……ね?


フェルド・スター様。ひょんなことからアーク様と行動を共にすることになさった方。喧嘩がめっぽう強くて自称「テラレジア一の喧嘩屋」だそう。話に聞くところによれば10年間刑務所にいて、アーク様が本土に戻られたのと同じ日にフェルド様も出所なされたそう。殿方に語るに落ちない秘密があったって、あたくしは気にしませんわ。その方が魅力的ですもの。


カノン・ライカ、「テラレジオ・ポスト」社の記者の端くれ。大手新聞社の記者といっても勤めているのは首府の片隅にある小さな分社で、大した仕事もないようですけれど、まだ20歳にしては頑張ってますわね。自前のカメラは何やら思い入れがあるようですが、「カノン」で「ライカ」なのに持ってるカメラはポラロイドって……冗談がお上手ね。


エリセア。この格好を見ての通り、テラレジア清教の尼です。……といってもみなさまはご存知ありませんわね。テラレジア清教はテラレジア人の宗教で、エリセアはその聖職者というわけです。聖職者は俗世と縁を断ち切るので、名字を持っていませんの。聖職者はお酒もお煙草も厳禁で、恋愛なんて下賤な真似はもってのほかなんですって。あたしだったら堪えられませんわ。


テラレジア共和国大統領。名前はローガン・モルド氏といいますが、専ら「大統領」と呼ばれていますわ。あたくしロディヤ・ハイルモンドはこの先生のもとで秘書をやっています。こんなふざけたなりでも、立派に選挙で選ばれた大統領ですのよ。


以上が作品の中心人物たちです。……あたしが入っていないってことは、あたしはどうでもいいのかしら。

……まあ、その目……「なんで男二人には『様』をつけてヒロインは呼び捨てなのか?」って目をしていますわね。年下の女を呼び捨てにして何か問題でも?



さてさて、今回公開する内容はここまでです。来月の特集ではもっとたくさん見せられちゃう……かもね。あたくしロディヤは引き続き作品の紹介役と、連載開始後は予告を担当する予定ですから、末永くよろしくお願い致しますわ。

最後に何か質問は……っと、「なんでフェルド様やあたし、大統領は肌の色が濃いのか」って、そんな目ですね。自慢じゃないですが、あたくし、他人の目を読むのは得意なんですの。

これは至って普通のことですのよ。テラレジア人は遺伝学上はコーカソイド(白人)ですが、肌の色が濃い人も多いんです。日差しが強いからとか、歴史的に北アフリカ系人種やアメリカ先住民と交わったからだとか、理由はいろいろ考えられるみたいですけどね。このせいで歴史上、ヨーロッパ人とはいざこざがあったみたいですが、今のあたくしたちには関係ありませんのよ。

まあ、この辺りは物語の伏線でも何でもありませんから、そういうものだと思ってくださって結構ですわ。……ウフ、言っちゃった。

日本の殿方は小麦色の肌もお好きと聞きましたわ。あなたは、あたくしみたいな女はお嫌い?

……なんてね。また会いましょ、バイナラ、ラナイバ!


第2回(2023年9月号掲載)

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは雨宿拾遺物語が送る新連載『テラレジア・クロニコ』告知の第二弾です。


先月公開された『テラレジア・クロニコ』作品ページはご覧になりましたかしら。ついでに『テラレジアの歩き方』っていうおまけ作品も公開されていますわよ。……どこかのガイドブックの表紙みたい。

今月号の特集では作品についてさらに深堀りした内容をお届けいたします。それから、本編の連載開始に先走ってちょっとした特別編も公開ですって。何かしら、ワクワク。

それでは今回もお付き合いくださいね。


そういえば、前回の告知をご覧になって、あたくしのこと「作品紹介担当のくせにキャラが濃すぎる」って意見がありましたわ。何を言われようとあたしはあたしですわ。性格とエスプレッソは濃ければ濃いほどいいんですのよ。



まずは作品のあらすじについて、前回よりももっと詳しくご紹介します。



時は1980年代の前半、舞台は大陸の西端にある小さな国、テラレジア共和国。「小さな国」といっても、面積は北海道より広いくらいで、人口は2000万人(東京と埼玉の人口を足したくらい)くらいですから、すごく小さいってわけでもありませんのよ。経済とか、国際上の立場で「小さい」ってことですわね。


かつてのテラレジアは環大西洋世界を統べる強大な王国でしたが、時代とともにその座を明け渡し、十九世紀の後半には敗戦を機に王政が廃止されました。国家は共和政に移行し、王家は大西洋の島に一世紀の流刑を言い渡されたのです。早い話が「100年は戻って来るな」ってことですわね。なんだかかわいそう。

で、それから100年が経ちまして。王家の子孫は約束通り戻ってきたのですわ!その殿方の名はアーク・ウエスト・〝テラレジア〟様、正真正銘、テラレジア王家の直系の子孫で当代なのです。


王家の者として実に100年ぶりに本土の土を踏んだアーク様が出会ったのは、フェルド・スターという方。自称「テラレジア一の喧嘩屋」という、大層お強い方です。

縁、因果、宿縁、運命……どんな言葉でも構いませんわ、出会ってしまった二人は行動を共にすることにしました。


アーク様の野望、それはこの国に再び王政を取り戻し、自らが玉座に就くこと。すなわち、王政復古!

そのためには、臣民の皆々様が久しく忘れていた王の威厳を思い出させ、王を差し置いてこの国で好き放題している無法者共を須く罰する必要があるようです。

この物語は、王政復古を目指す破天荒な二人組の冒険譚なんですのよ。


さて、ところ変わって、テラレジアの首府の片隅、庶民の街「太陽通り」。大手新聞「テラレジオ・ポスト」社の新米記者カノン・ライカは上司に叱責されながらうだつの上がらない日々を送っていました。

そんなある日、カノンは王家の末裔とその相棒たる二人組に出会ってしまうのです。ろくでもない二人組とどこか通じ合ってしまったカノンは、アーク様の言葉を受けて、二人を取材して記事を執筆することに決めました。

彼らの活躍を記した記事の名は「テラレジア・クロニコ」。それは、かつて歴代王の勅命で編纂された王国の年代記と同じ名前。

途切れたはずの王国のクロニクルに、今新たな1ページが刻まれようとしていました。



あらすじは以上になります。果てしない野望を抱く彼らを待ち受けるものとは?テラレジアの未来は?もう一人のヒロイン、テラレジア清教の尼エリセアや、あたくしがお仕えする先生はどう登場するのか?

そういうのは全部読んでのお楽しみ、ですわ。



あらすじの紹介が済んだところで、お次は本作品の形式をご紹介します。


本作品は週刊連載のマンガになります。更新は月刊誌「雨宿拾遺物語」の更新と合わせて、日曜日ですってよ。

本編の更新と同時に、ちょくちょく短編小説も更新されます。こちらは本編のストーリーに関連した内容で、読んでいただけると作品をもっと楽しめるそうですわ。作者曰く「博物館の音声ガイドみたいなもん」らしいわよ。う~ん、確かにこれはあった方が楽しいかも?……ウフ。

軽妙な会話を中心に、サクッと読める長さらしいから、気軽に読んでみてってことよ。


それと、『テラレジアの歩き方』はもうご覧になってくださったかしら。作品の舞台「テラレジア共和国」について様々な情報を掲載していますわよ。こちらも本編の更新に合わせてどんどん追加されていくから要チェックですの。作品の世界観については作者もかなり緻密に練り上げたらしいから、みなさまはアーク様たちと一緒にこの国を旅するつもりで楽しんでいただきたいですわね。



さてさて、今回の紹介はここまで……と思ったそこのあなた!(ビシッ)『お嬢おか』を読むのはまだ早いわよ!

美人秘書のあたくしより結子お嬢の方がいいって言うの?

せっかちさんなみなさまに大ニュース!今月号では『テラレジア・クロニコ』本編の連載開始に先立ち、本作の原案となった読み切り短編『アーク&フェルド』を大公開よ!


こちらの短編は本作の構想初期にお試しとして描かれた作品ですの。アーク様、フェルド様、カノン、おなじみ三人の日常が描かれていますわ。


太陽通りの一番地で頽廃的な生活を送っている王家の末裔アークとテラレジア一の喧嘩屋フェルドは、新聞社の新米記者カノンが持ち込んだ記事で、百貨店の高級ブランド品が次々に盗まれている事件を知る。事件の真相を探るため、彼らは百貨店「エクツェレンツォ」を訪れるが……。


ぜひ読んでみてね。


今度こそ今回の告知はおしまい。来月号ではいよいよ連載がスタート!あたくしロディヤ・ハイルモンドも引き続きこのコーナーを担当しますから、これからもよろしくですわ。


第1章予告(2023年10月号掲載)

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは雨宿拾遺物語が送る最新作『テラレジア・クロニコ』あらすじ紹介です。


今月よりいよいよ連載開始!このコーナーでは物語のあらすじと、作品の見どころを紹介しますわ。

ところで、前回の告知をご覧になって、「ぺーぺーのくせに結子店長に張り合うな」って意見がありましたわ。

言っておきますけれど、決してそんなつもりはございませんのよ。結子お嬢はこのWebサイトを三年間盛り上げてきた大先輩ですもの、あたくしの憧れよ。

……作者の寵愛を受けてるキャラクターには勝てないわよ。


『テラレジア・クロニコ』本編は今月号より連載開始でございます。今すぐ本編をお読みになりたい?それも構いませんけれど、少しだけあたくしの方からご紹介させていただきますわ。


まずは今月より連載開始の第一章キービジュアルを大公開!

……あたしがいないわね。いえ、期待してなかったけど。


最初のページはこちら。

闇夜に浮かび上がる王城、そしてテレビに流れる大統領の言葉……これは何なのかしら。

ところかわって、首府 太陽通りの一番地、二階の「テラレジオ・ポスト」分社。

仕事を与えられずぼさっとしていたカノンは編集長に叱られてしまいます。追い出されるようにして彼女が取材に向かったのは大聖堂の聖遺物御開帳。テラレジア清教の聖遺物が百年に一度公開されるという、歴史的な式典ですわ。

ちなみに「聖遺物」っていうのは清教の開祖の遺体のことね。首府のチェフル大聖堂をはじめ、国内各地の重要な聖堂に安置されているんですのよ。


大聖堂へ来たはいいものの、取材許可証がなかったので門前払いを食らったカノン。意気消沈して歩いていた聖堂の裏庭で、怪しげ~な二人組を発見します。関係者ではなさそうな二人組の後をつけて彼女も大聖堂に足を踏み入れるのだけれど……それって不法侵入じゃないの?

二人組の正体は?忍び込んだ大聖堂内部でカノンが見たものとは?

続きは本編でね。


さて、ここでこぼれ話。首府にある庶民の街「太陽通り」について。

「太陽通り」は道の名前でして、市街の北部にある丘を登っていく歩行者専用道なんですの。太陽通りは路面電車の通る幹線道路に面していて、そこから続く道を登って丘の頂上まで行きますと、首府を見渡す絶景が目の前に広がるのよ。それから、沿道に軒を連ねる店の数々も魅力的。庶民の街というだけあって、安価なお店が多いのが特徴ね。

中でもご紹介したいのはバル「相席屋」。太陽通りの入口にはテラレジオ・ポスト分社がある建物がありますが、そのお向かいにあるのがバル「相席屋」ですわ。

「バル」というのはスペイン式の居酒屋のことですが、「居酒屋」といっても昼から営業していてカフェ・レストランを兼ねているのが一般的。「相席屋」も昼間から地元の常連さんたちで賑わっていますの。エスプレッソでくつろぐもよし、早い・安い・美味い三拍子そろった食事に舌鼓を打つもよし、ね。

そんな「相席屋」の人気メニューはバルベクオ。バルベクオは英語で言うところの「バーベキュー」で、牛肉や羊肉の塊を串に刺して豪快に炙ったもののことよ。どこのバルでも定番の料理ですけど、あたくしはこの店の特製ソースでこんがり焼けたのが格別だと思いますわ。みなさんも一度食べたらきっとやみつきになること間違いなしよ。優しい店員さんと気さくな常連さんに囲まれた温かい雰囲気もこの店の魅力。上京してきたおのぼりさんもここに来れば、どこか故郷を思い出しておセンチになっちゃいますわね。

首府に来ることがあれば、ぜひ一度訪れてみてね。


では今回の作品紹介はここまで。あらすじ紹介ってこんなカンジでいいのかしら?何も言われていないから割と好き勝手にやってるわ。これからもロディヤ・ハイルモンドの作品紹介をよろしくね。


はあ、これが終わったらいつもの仕事よお。あたしは秘書ってガラじゃないんだけどねえ……。


第2章予告(2023年11月号掲載)

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは好評連載中『テラレジア・クロニコ』あらすじ紹介です。


先月より連載が始まった『テラレジア・クロニコ』はお楽しみかしら。アーク様とフェルド様の活躍がこれからもっと楽しみになりましたわね?今月号からはいよいよ新章も始まり、これからの活躍が待ち遠しいですわ。

……ところで、あたしの出番が無かったんですけれど、この後は期待していいのよね?初登場となればそれはもう華麗なシーンが待っている……のよね?そうでなきゃ作者の喉元にナイフを突きつけに行くわよ。

ウフ、冗談よ。


それじゃ今回も参りましょうか!


今月号より始まる新章について、まずはキービジュアルを大公開!

アーク&フェルドの前に立ちはだかる新たな敵、そしてきらびやかな舞台の世界に、そびえる巨大な黄金のビル……

あたしの出番については、早くも暗雲が立ち込めてきたわね。……別にいいのよ、あたしには宣伝のお仕事がありますから、ね!!!


第二章のあらすじをご紹介いたします。


100年ぶりに本土に舞い戻った王家の末裔アークと相棒のフェルドは、首府の片隅でぐうたらな暮らしを送っていました。

プー太郎で家賃の支払いにも滞ったために大家であるガリバン爺の印刷屋で働かされることになったのだけれど、これも無断欠勤の常習犯。ろくでもない二人組は近所でもそこそこ有名な存在になりつつありました。


そんな二人の活躍を取り上げた新聞の連載記事が「テラレジア・クロニコ」。執筆しているのはテラレジオ・ポスト社の新米記者カノン。

ところが、彼女の上司が言うことには、「テラレジア・クロニコ」は本社から掲載拒否の判断がなされたため、突然の打ち切り宣告。なんたる横暴、許せませんわ。

本社の突然の対応はあまりに不自然、アーク様たちはテラレジオ・ポスト本社に乗り込むことにしたんですの。


そこで出会った男はステファノ・グレズノ。テラレジア公共放送の経営責任者にして自身もテレビスター、そして何より、テラレジア国内のメディアに多大な影響力を持つ、人呼んで「メディア王」なんですの。

グレズノが二人に明かした真実とは……?

アーク&フェルドの新たな戦いが幕を開けます。



テレビというと、あたくしロディヤ・ハイルモンドもテレビっ子でしたわよ。……え?「そのせいでメガネをかけてるのか」って?失敬ね、これは伊達メガネですわよ。先生(大統領のことですわ)が「この方が秘書っぽいから」って言って……それはさておき。

あたくしはませたお子様だったから、子供向け番組に興味はありませんでしたわ。代わりにドラマを観てたの。国内ドラマってのは大概お粗末で話も退屈だったから、アメリカのを吹替した作品をよく見てましたわ。やたらきわどい恰好の金髪お姉さんが出てきたり、主演の筋肉ムキムキな俳優がケンカやら水浴びやらでほぼ毎回上裸になるシーンがあったりとか……今思えばアレは露骨な視聴率稼ぎでしたわね。

あとは……歌番組!ドラマは海外モノばっかり見ていましたけど、音楽はめっぽう国内歌手よね。だって英語の歌詞なんてあの頃は何言ってるか分かんなかったし。あたしも女の子だし、もちろんアイドル歌手がお気に入りだったのよ。こう言っちゃ悪いけど、今時分のアイドルは媚び媚びした感じがあってやあねえ、あの頃のアイドルは純粋に歌が上手くて、パフォーマンスがすごくって、それで人気だったでしょ?あれが良かったのよ。(テラレジアのアイドル事情が伝わらなかったらゴメンなさいね)

あたしはこんなのだったから教官には「ハイルモンドは俗っぽい」って散々どやされたけどね。教練で荒んだ心を癒してくれるのはテレビの歌姫だったのよ。

……ウフ、今の話は聞かなかったことにしてね。


さてさて、あたくしの出番は月に一度ですけれども、本編は毎週日曜日更新ですわ。今週から始まる新たなバトルもお見逃しなく。そして、この作品の「キモ」もようやく見え始めてきましたわね。なかなかにひとクセもふたクセもあるお話ですのよ。

乞うご期待ですわ。


現代に生きるみなさまは「毎週決まった時間にテレビの前に座って見る」ってことが珍しくなってるかもしれませんわね。その作品、たまにはオンエアで見てはいかがかしら。……雨宿拾遺物語も、ね?


第3章予告(2023年12月号掲載)

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは好評連載中『テラレジア・クロニコ』あらすじ紹介です。


先月の第2章はお楽しみいただけたかしら?

いよいよもって作品の謎は深まるばかり。アーク&フェルドが直面している現実はどうなっているのか?「大統領」って何者なのかしら?

……あたし?あたしは大統領秘書のロディヤですわ。何度もそう言ってるじゃないの、ウフ。


このコーナーも第五回を迎え、みなさまにも馴染んでいただけたかと思います。今回は第3章の予告よ。まずはキービジュアルからどうぞ。

今度の舞台はテラレジア清教の大聖堂!そして本作のもう一人のヒロイン、エリセアが満を持して登場ですのよ。……1-1でちらっと出てた以来の出番ですわね。


さっそくあらすじ紹介……と行きたいところなんですけれど、その前に、本章のストーリーにおける重要な要素、「テラレジア清教(せいきょう)」という信仰について軽くお話ししておく必要がありますわね。

「テラレジア清教」はテラレジア人の圧倒的多数が信仰する宗教で、王国時代の国教でもあったものです。王国成立と同時期に創始されて、王国が版図を広げるのと共に大衆に広まっていったんですの。

あ、そうだ、日本語で「清教」と表記していますけれど、イギリスのプロテスタント宗派「清教徒(ピューリタン)」とは何の関係もありませんからあしからず。テラレジア語の訳語として相応しい言葉がなかったから新しく作った造語なのよ。そもそもテラレジア清教は、厳格に神の教えを説いた「宗教」というよりも、人々の日常生活や価値観と結びついた「慣習」に近いもので、その立ち位置は日本人の寺社仏閣に対する信仰に近いものと言われており、それ故に「聖教」の字をあてるには不適当と考えた学者が今の訳語を作り……

なんて、どうでもいいわよ。知りたい人だけ専門書を手に取ってみてね。


とにかく、テラレジア人のほとんどすべては「テラレジア清教」ってのを信仰してて、それはこの国独自の宗教です!ハイ、終わり!


そして第3章の戦いこそまさしく、テラレジア清教の総本山たる大聖堂で繰り広げられるんですの。


さて、あらすじ紹介と参りましょう。

お話はアーク様たちが列車に乗っているところから始まります。彼らが向かっているのは北西部のバロン県と呼ばれるところです。

そのきっかけはお二人のもとに届いた一枚のハガキ。差出人は不明で、表に描かれていたのはカミツレ、またの名をカモミールというお花の絵だけでした。これだけじゃあ愛のお手紙にしては少々弱いですわね。ところがそこは流石のアーク様、カモミールの絵からすぐにテラレジア・クロニコの一節を思い出したんですの。……「テラレジア・クロニコ」というのは、王国時代に書かれた年代記のことですわ。

かつて、キリスト教徒によるイベリア半島のレコンキスタのあおりを受けて、テラレジア辺境の人々はキリスト教徒、イスラームの双方から迫害を受けておりました。この窮状を訴えるため、とある少女がテラレジア王にカモミールの花を贈ったそうなんです。読み書きのできない少女から贈られた花を受け取った王はすべての思いを理解し、ただちに兵を挙げて異教徒から人々を救った――という逸話があるんですって。

カモミールはテラレジア全土で見られる代表的な植物、それが異教徒の侵入者によって踏み散らされている……お花にはそういう意味が込められていたんだとか。歴史書の真偽はさておき、素敵なお話ですわね。


今再び、王に贈られたカモミールの花。アーク様は誰かが自分に助けを求めていると確信し、ハガキの消印をもとにバロン市に向かったのです。

バロン市といえばテラレジア清教の総本山たるバロン大聖堂があります。かねてより地元民に神聖視されていた巨大な岩山の上に、大聖堂をまるごと一つ作ってしまったという、なんとも大胆で壮麗なスポットですのよ。

そこで出会う新たな敵、味方……。アーク&フェルドの運命やいかに……?


お楽しみに。


ところで、テラレジア清教はテラレジア王と密接に結びついたものでもあるんですわよ。清教は王を「唯一の預言者」として讃え、王は清教を保護し教会の建立に資金を提供してきたんですの。清教の開祖は歴史の記述が少なく、今なお多くが謎に包まれた存在ですけれど、どうやら王国の初代国王と親しい人物だったそうよ。初代国王が各地を征服し、開祖が教えを広める、そうやって一代で国の基礎を固めたんですの。なかなかいいコンビじゃない?まるでアーク様とフェルド様みたいね。


『テラレジア・クロニコ』は毎週日曜日更新。合わせて公式設定集『テラレジアの歩き方』もよろしくですわ。


みなさまは神様って信じてます?……ごめんなさいね、突然。というのも、あたしってあんまり信じてないのよね。天に向かって手を合わせるのって時間のムダじゃない?そうする暇があったら自分自身で現状を変える努力をするべきなのよ。だって世の中の何事も、ひとえに人の知恵が為せる業でしょう?

あたしって意外と単純?ううん、ホント言うと、神様なんていないでほしいのよね。だってあたしはその類の人(?)たちには許されないような仕事をしてるから。

……あ、秘書のことを言ってるんじゃないの、ウフ。


それじゃあまた来月会いましょうね。よいお年を!


第4章予告(2024年1月号掲載)

みなさま、あけましておめでとうございます。

「なんで正月早々そんな寒々しい恰好してるのか」って……あたしが一番訊きたいわよ。

それもこれも作品の内容をみなさまにお伝えするためなんですのよ。


真相をお話ししましょう、今月号より開幕の『テラレジア・クロニコ』第4章の舞台は太陽さんさん、大西洋のビーチが舞台なんですの。

こちらが第4章のキービジュアル。あらま、これまでとは大きくデザインが変わりましたわね。大西洋に沈みゆく夕日、それを見つめるアーク様とフェルド様。水平線に浮かぶのは……豪華客船かしらね。


では、あらすじ紹介に参りましょう。

季節は夏。主人公三人組がやってまいりましたのは、クリタ県のペルロ海岸。ペルロといったら、リゾート地として名高い風光明媚な港町ね。その中でも三人が滞在しているのは外国人観光客向けのお高いリゾート。なんでも、太陽通りの商店街のくじ引きで旅行券が当たったそうなのよ。アレってちゃんと当たりが入ってるのねえ、あたくしロディヤはパスタのセットまでしか当たったことありませんわ(しかも賞味期限が近いの、どうせ在庫処分よ)。

ところが、人気者ゆえの不幸か、来て早々にクリタ警察署長ジーナ・アルボイドから宿敵宣言をかまされてしまいます。アーク&フェルドはこれまでも法律スレスレ、というか多分アウトなことをやってきましたから、警察に因縁つけられるのも仕方ないといえば仕方ないのかしらね。

それにしても、未婚で気の強いオバンほど面倒な存在はありませんわね。誰彼構わず当たりが強くて、ナイフみたいにとがっては触わるものみな傷つける……ってカンジ?――それは違う話ね。


ともかく、三人はそんなの無視してバカンスを楽しもうと思っていたのですけれど、そうは問屋が卸さない。ガラの悪い男たちに絡まれて、かと思えばそのすぐそばには警察官が控えている……。これって何か妙よね?

否応なく騒動に巻き込まれるアーク&フェルド、そして彼らがたどり着いた先にある真実とは……?

第4章、お楽しみに。


あーあ、せっかく水着まで来たのに、ロマンスがないわね。あたしもセレブの集うビーチでバカンスを楽しみたいわ。そこでステキな殿方に出会ったりして……ね?

「恋人いないのか」って?そうですわよ、意外?

実を言うと、仕事上難しくてね。別に禁止されてるわけじゃないんですけれど、共有したくない秘密が多いんですのよ。下手に向こうから男性が近付いてきたりすると、実はスパイなんじゃないかって疑ったり……もう職業病ね。自分がそういうことやってるからって……おっと、何でもないわ、ウフ。

なんだかこういう出すぎた発言をする度に、「あたくしが黒幕なんじゃないか」って疑われているようですわ。やあねえ、あたくしは本当にただの大統領秘書ですわ。ま、その大統領がよく分からない人だってのはあるけど。こればっかりはあたしにも分からないわ。

分からないといえば、そう!あの人ね、ピザにパイナップルの載ったの食べるのよ!信じられなくない!?

大統領府のすぐそばに出前もやってるピザ屋さんがあってね、官庁街のお役人御用達のお店なんだけど、こないだも先生(大統領のことですわ)が「ピザ頼もう」って言ったんですのよ。そしたら先生、よりにもよってパイナップルが載ってるのばっかり頼んで!確かにあたしは言ったわよ、「どれでもいいです」って。でもそれは社交辞令みたいなものであって、お昼ご飯に甘いものは許せるわけないじゃない?だけど他の秘書さんもみんな「これがおいしいんだ」って言って、むしろあたくしの方がヘンな人扱いでしたわ。

みなさまはきっと分かってくれますわよね?かれこれ半年もあたくしと顔を合わせてる仲ですもの、今さらはしごを外すようなマネは許さないわ、殺すわよ。


……冗談ですのよ、ウフ。


そんなこんなでまた来月お会いしましょう。お相手は、アンチョビのピザが好きなロディヤ・ハイルモンドでした。

今年も頑張っていきましょうね。


第7回(2024年2月号掲載)

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは好評連載中『テラレジア・クロニコ』あらすじ紹介です。


今日はいつもと違う格好で失礼して。といってもここ数カ月、毎回衣装替えをしていたけれどね。

見ての通り、これは軍服ですけれど、あたくしたちより上の世代の方々にとって、ある人には忌まわしく、またある人には苦々しい思い出が蘇る服装かもしれません。

もちろん、みなさまは分かりませんわね。今月からの内容を読めばお分かりになりますわ。


今月は第5章の予告です。既にストーリーは後半戦に入っていますが、ここまでお読みになったみなさまの感想はいかがかしら。ますます謎は増えるばかり……このお話はどこに向かっているのか?そしてあたくしロディヤ・ハイルモンドっていつ登場するのかしら?

……もしくは本当に没キャラなの?


第5章のキービジュアルはこちら。

ちょっと!ついにキービジュアルからアーク様とフェルド様がいなくなっちゃったじゃないの!!主人公がいないなんて、どうしてくれるのよ!

……カッカしても仕方ないわね。それにしても不穏なイラスト。遊園地のモチーフと、軍隊……?おっかないわね。


さっそくあらすじの紹介を……といきたいのだけれど、その前に少しだけ、テラレジアの歴史のお話をする必要がありますのよ。

ご存知の通りテラレジアは今から100年前に王政を廃止し、共和国として生まれ変わりました。それ以来大統領を首とした共和政府が統治を続けているんですが、一度だけ内戦に見舞われたことがあるんです。

1940年~1945年の「テラレジア内戦」と呼ばれるものね。「先の大戦」といえば、世界的には第二次世界大戦のことを指すでしょうけれど、それと時を同じくして起きたこの戦いがテラレジア人にとっての「先の戦い」なんですの。

内戦の構図は、簡単に言えばナチスの息がかかったファシストと、連合国が支援した共和政府の戦いですわ。これより少し前の時代、世界的にファシズムの思想が流行っていて、イギリスやフランスの国内にもファシストの勢力はあったそうですわ。テラレジアも例外ではなくて、ちょうど近隣国のスペインでフランコの独裁政権が誕生した頃でしたから、ファシストはとても勢いづいていたんですわ。具体的には「テラレジア統一党」という勢力で、これが共和政府に対して蜂起しました。

ナチスドイツの軍事支援を受けた統一党は初期において旧式装備の共和政府を圧倒したわ。これをよく思わなかったのはアメリカをはじめとする連合国で、共和政府に対して兵器供与を行い、内戦は枢軸と連合の代理戦争という構図になったのね。

1945年にナチスの後ろ盾を失った統一党は南部グリム県で最後の拠点が陥落、指導者は一掃され、ここに6年に渡る内戦は集結しました。国土は荒廃し、多くの人が戦争や飢えによって倒れたわ。暗い時代ね。

あたくしたち若い世代にとっては歴史の出来事ですが、おじさん、おばさんたちにとってはれっきとした記憶であって、今でも内戦の話をするのははばかられるわ。だって、目の前の相手がその当時、どっちの陣営の支持者だったか分からないじゃない?うかつなことは言えないわよ。


長々と話して失礼いたしました。それじゃあこの歴史を踏まえて、あらすじ紹介といきましょうか。


物語はテラレジアを揺るがす大事件が発生するところから。

テラレジア陸軍第七師団の師団長バルザン・メフィストが配下の舞台を率いて南部グリム県で軍事クーデターに踏み切ったというのです。メフィストといえばかつてのテラレジア統一党を支持する要注意人物で、中央ではかねてより危険視する声がありました。

グリム県はカノンの出身でもあります。郷のお母様は大丈夫かしら。などと言っていたところにメフィストからの公式声明が。「王家の後継者アーク・ウエストへ告ぐ、未来の国家のためにここに貴殿を招請する」ですって。名指しでお呼び出し。相手は銃を持った軍人だけど、大丈夫かしらね。

ともあれ、政府側からもお呼び出しがかかったアーク様は行かないわけにはいきません。フェルド様と共にメフィストと対峙することに決めました。それと一緒に、カノンも高校卒業ぶりに故郷の土を踏むことにしたのでした。

これまでになく不穏な戦いの幕開け、二人は本当に大丈夫なのかしら。


さてと、今回の話に出てきた通り、あたくしが今日着ているのはテラレジア統一党の軍服でした。

この格好、似合ってるって思った?それはちょっと複雑な気持ちね。でも、鋭いわ。あたしね、軍服を着ていた頃もあるのよ。

勘違いしないでほしいんだけど、今は軍人じゃないわよ?それどころかあたくしは軍人ってニガテですわ。ほら、なんとなく思想とか使命感とか強いでしょ?そういうところが、ね。

あたしって傍から見れば職務に忠実で、堅気なところがあると思うかもね。でもそれは仕事だからそうしてるんであって、以外かもしれないけど、あたし自身には強い思想なんてないのよ。むしろ空っぽなくらい。やれと言われたらやりますわ、でもそれ以上の感情を抱くことはないわね。たぶん、傷つきたくないのかも。


……ええと、何の話だったっけ?まあいいや。

ますます盛り上がりを見せる『テラレジア・クロニコ』を今後もよろしくね。それと……見眼麗しい案内役のことも、ね!


第8回(2024年3月号掲載)

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは好評連載中『テラレジア・クロニコ』あらすじ紹介です。


このあいさつももう8回目なんですわね。「いまさら言わなくても分かるわよ」って思ってるでしょうけれど、定型文のあいさつは80年代アイドルからの定番ですものね。これだけしつこく言えばあたくしがテラレジアの大統領秘書だってことも分かってもらえるわよね?ウソじゃないのよ?


ストーリーもついに佳境、今月からは第6章が始まりますわ。物語はますますワケワカメであたしもお手上げなんですけれど、ご安心を。これからもっとワケが分からなくなるそうよ。

すべての真実が明らかになった時、そこにはどんな世界が広がっているのかしら。


第6章のキービジュアルはこちら。

あたくしの先生、大統領ですわね。……あれ?これって今月号(雨宿拾遺物語第42号)の表紙と同じじゃない?……いいえ、でもどこか違ってるような……。見比べてみてね。(第42号の表紙はこちら

というよりも、あたしとしては主役の二人がすっかりキービジュアルに出てこなくなっちゃったことの方がショッキングよ。あたしのアーク様とフェルド様を返して!

……ま、まあいいわ。あらすじを見ていきましょう。


物語はバルザン・メフィストを首魁とする軍事クーデター事件のあと。

カノンの勤めるテラレジオ・ポスト分社に、本社から通達がありました。記者を一名本社に引き抜きたいという話で、おハゲの編集長はなんとカノンを推薦しようと思っているというのです。本社に転勤といえば、大変名誉なことで夢のような話です。けれども、もしカノンが本社に異動したら、アーク様とフェルド様の活躍を記した「テラレジア・クロニコ」を執筆する者はいなくなってしまいます。結局、カノンは返事を待ってもらうことにしました。

二人に相談しようと三階の部屋を訪ねたカノン、そこにいたのは真っ白なキャンバスを前にぼんやりと座り込んでいるアーク様だけ。軍事クーデターの一件以来、黙って考え込んでいる時間が多くなったアーク様、いつもみたいな覇気が無くて心配ですわね。

相棒のそんな姿に煮え切らない思いを抱えるフェルド様は、彼を「腑抜けた」と言って知らんぷり。二人とも、どうしちゃったのかしら。

あてもなく街をぶらつくフェルド様の前に、一人の女性が現れるのでした……。

え!?

これあたしじゃない!?


……なーんて、とぼけてみても無駄ね。

そうなの。ついさっきお呼び出しがかかっちゃって。正直なことを言うとね、あたしもあんまり気乗りしないんだけど、こればっかりは仕方ないわね、仕事なんだから。


というわけで、もうそろそろ行かないと。もう少しおしゃべりしていたかったけど、また今度ね。


『テラレジア・クロニコ』は2024年4月に完結予定。あたくしの作品紹介も残すところあと一回……かしら?慣れない仕事で拙いところも多かったでしょうけど、こっちとしては楽しかったわ。みなさまが応援してくれたら、またお仕事をもらえたりもするのかしら……ウフ。


なにはともあれ、アーク様とフェルド様の冒険を最後までよろしくお願いします。


第7章予告(2024年4月号掲載)

『テラレジア・クロニコ』最終章!

ついに物語はフィナーレへ!

もはや何もない世界に一人立つアーク。彼が最後に選び取るものは……?


お楽しみに!!!