第21号
アポロ11号(Apollo 11)

「今後10年以内に人類を月に着陸させる」

時のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは高らかに宣言した。1961年、合衆国はやっとの思いで一人の飛行士を宇宙に「打ち上げた」ばかりの頃である。

冷戦期における米ソの競争はあらゆる分野に及んだ。その一つは宇宙という広大な世界である。「スプートニク・ショック」に続くユーリ・ガガーリンの有人宇宙飛行によって宇宙開発の分野でソ連に大きな後れを取っていた合衆国にとって、人類の月面着陸は大願であった。

1961年にケネディは月への有人宇宙飛行計画「アポロ計画」を始動させた。巨額の予算が費やされ、大量の人員が動員された。文字通り人類の叡智を結集して推し進められた計画であった。

1969年7月20日、アポロ11号は乗組員のニール・アームストロング並びにバズ・オルドリンを人類で初めて月の大地に降り立たせる。故ケネディ大統領の途方もない計画は遂に実を結び、それは人類史に永遠に刻まれる輝かしい勝利であった。


なお、NASAのコントロールルームのモニターはデータを表示させるためのものであり、このような映像が放映された事実はない。


オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

おかげさまで『鐵軌の帝國』の原稿作業が大詰めを迎えております。完結まで当初の予定通りみなさんにお送りできそうです。本編以外にも作業が残っているのでもう少し働くことにはなりそうですが、一つの作品に終わりが見えてきました。

思い返せばちょうど一年前、「歴史系でカッコいいの書きたいなあ……。」というぼんやりとした構想が急に形を持ってきたのがこの頃でした。作品の構想というのはですね、人口爆発のグラフみたいな、そんな感じなんです。産業革命以前は高々10億人しかいなかった世界人口がその後の二世紀で指数関数的に増加する――作品の構想もこれと似てて、長いことぼんやりとしたアイデアだったものが、あるところから一気に世界観だのプロットだのがぶわーっと組み上がっていくんですね。

それから一年かけて描いてきましたが、そろそろ終わりみたいです。感慨深いです。これまでにいくつも作品の「終わり」を迎えてきましたが、これくらい入れ込んだ作品の完結は初めてかも。

他の連載作は終わる気配が見えないけど……でも最後までプロットは組まれてるからいつかは終わるんだよね。僕の大好きなあの店長さんも、死ぬまでにはちゃんと完結させます。


な~んて、気が早いよね!!!

どうか最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。


『お嬢おか』新章、連載開始!

いよいよ今月から連載開始する『お嬢店長おかしまし』初の中編、

「お嬢店長おかしまし 商店街夏祭り編」!

夏真っ盛りの中辻を舞台にまたしても我らが店長大活躍!早く読みたい!そんなアナタに向けて、今回は見どころをご紹介!知ればもっと新章を楽しめる!


あらすじ

中辻市の中心市街に位置する中辻商店街。商店街振興組合が毎年開催する「中辻夏祭り」はこの街の風物詩!……ところが今年はその夏祭りが開催の危機!?窮地を脱するべく名乗りを上げた結子店長、数々の難題を解決し、みんなの夏祭りを守ることはできるのか……!?アカデミックだがしや日常コメディ、異色の夏祭り編開幕!

見どころ① 結子店長の新衣装

『商店街夏祭り編』ではメインビジュアルでも描かれている通り、主人公の結子店長が新衣装に大変身!それがコチラ!

今回はTシャツに商店街振興組合の夏祭り用はっぴを着て登場!いつものエプロンスタイルや制服姿とはまた違った活発なお姿。ん~、相変わらずお嬢様感が皆無ですね、だがそれがいい。

この中編でしか見られない限定衣装での活躍に酔いしれてね!

見どころ② スケール大きく描かれる中辻の魅力

結子店長たちが暮らすのは中辻市という街。ところでみなさん、この街がどんな街だったかそろそろ忘れてません?ちょっと第1話の設定を読み返してみましょうか。

そうでした、こんな設定でした。

考えてみてください、都原市が人口200万、だいたい札幌市か名古屋市くらいの規模です。そこから都原鉄道中辻線(私鉄)で30分……。地方の大都市から30分も電車乗ったらまあまあな田舎に辿り着きますよね。中辻ってそれくらいの街です。

そんな中辻の人々の暮らし、どんなものなんでしょう。

今回『商店街夏祭り編』は中辻商店街が主催する夏祭りをテーマにしたお話。その中ではこれまであまり描かれてこなかった街の人々の様子を垣間見ることができます。

日本のどこかにはありそうな、そんな街。どこか懐かしい雰囲気の地域のつながりにもご注目。

見どころ③ ド定番の夏祭り展開

あらすじでは「みんなの夏祭りを守ることはできるのか……!?」とありますが、

夏祭りはちゃんと開催します。(超絶ネタバレ)

だって、夏祭りだよ?ド定番な展開だよ?やらないわけないじゃない。

なんでも器用にこなす結子店長が入ったことで一体どんな夏祭りになるんでしょうか。今回の中編のクライマックスとなる夏祭り当日をお楽しみに。


そんなこんなで、見どころばっかり紹介してても仕方ありません、本編をご覧ください!

『お嬢店長おかしまし 商店街夏祭り編』は今月号から全4話に渡って連載!夏は毎年やってくるけれど、この夏は一度きり。


前回までの『鐵軌の帝國』

(肘掛け椅子に座る男は背中をこちらに向けてパイプをふかしている。しばらくそのままでいたが、おもむろにパイプを取る。)

「またお会いしましたね。……いいや違う、もしかしてずっとそこにいましたか?」

「ええ、ええ分かっていますともあなたの仰りたいことは。『前回の続きを読ませてくれ』とそう言うのでしょう?わたくしもわたくしのするべき話をしましょうとも。」

「――さて、前々回の『鐵軌の帝國』はロバート技士らがアリゾナに向けて旅立ったところでおしまいでした。前回の始まりは東へ向かう列車の中からでしたね。」

「アリゾナ準州、コロラド高原はグランドキャニオンの程近くにある開拓地の街、ヒルバレーに辿り着いた一行は保安官ワイアット・アープから『大きな穴』の話を聞きました。道中はジェロニモ率いるインディアンの戦士たちに襲撃されながらも目的地に辿り着くことができました。」

「雄大な自然の中で調査を始めたロバート技士、当初はぎくしゃくしていた仲間たちとの仲も睦まじくなり、遂には研究が結実して周囲の時化を完全に沈黙させる魔法の『杖』の発明に成功するのでした。……失礼、魔法ではありませんれっきとした技術の賜物です。」

「成果を手に誇らしげに凱旋しようと、旅の帰路につく四人組。しかしてこの世界は術士の力によって回っています。その社会を根本から揺るがしかねない重大な発明、それはこの国に世界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。――といったところで第三章が始まります。」

「……おやあなたまだここにいるおつもりですか?」

「なるほど、どうやらあなたはわたくしにご興味がおありのように思える。確かに聞かせてやってもよいですが手前のことを語るほどわたくしはつまらない人間ではありませんよ。それにわたくしがここで話したことのどれだけが真実だとあなたに判断する手筈がおありですか?」

「気を悪くしないでくださいわたくしだってあなたに多少興味があるんですよ――もう一度会うことがあればね。……ではまた。」


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第20号

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