まず、お手元のキーボードに目を向けていただきたい。(スマホでご覧の方は頭の中にPCのキーボードを思い浮かべよう)
左下のあたり、「Ctrl」と書かれたキーがあると思われる。Macユーザーの方なら「Command」というキーがあるだろう。あーそうそう、□の四隅に〇が引っ付いてるマークのやつ。次いで、その少し右上に視線を動かす。アルファベットが書かれたキーがあり、そのなかに「C」と「V」が隣り合って並んでいる。
これこそが今回の「史上最大の発明」である。
人類史上最大の発明品とは何かを問うシリーズ「史上最大の発明品」、記念すべき第1回のテーマは「Ctrl + C & Ctrl + V」。
だいたいのPCユーザーならまず間違いなくご存知であろうが、一応説明しておく。PCにはキーボードショートカットというものがあって、特定のキーボード入力を行うとそれに対応した操作を行ってくれるというもの。今回挙げた「Ctrl + C」なら「Ctrl」キーと「C」キーを同時に押す。では一体この二つのキーボードショートカットで何ができるのか。
コピー&ペースト、「コピペ」である。
メモ帳でもMicrosoft Office Wordでもウェブブラウザでも、テキストを選択して「Ctrl + C」でコピーし、それを貼りつけたいところで「Ctrl + V」を押せば丸々書き写せてしまうのだ。ちなみに「Ctrl + X」は切り取りである。これも親戚みたいなものなので少し触れつつ話を進める。
有史以来、多くの人類がこのショートカットに助けられてきた。文章をどっか別なところに写したいとき、レポートで楽したいとき、他人のソースコードお借りしたいとき……。UNICEFや国境なき医師団よりも多くの人々を救ったと言っても過言ではない。コピー&ペーストとはまさしく魔法なのだ。
コピー&ペーストの歴史は深い。そもそも1981年発表のIBM PCのキーボードには既に「Ctrl」キーがいた。「C」キーなんか言ってしまえばタイプライターの時代からある。ところが、IBM初期のキーボードショートカットでは「Ctrl + C & Ctrl + V」ではなかったようだ。ここで登場するのは右上あたりにいる「Insert」キーくんである。影が薄いので存在を覚えてない方もいるだろう。
だったらしい。その証拠に、今でもこの方法でコピペを行うことができる(切り取りはできない)。どれ、ちょっくら試してみよう。
どれ、ちょっくら試してみよう。
確かにできた。
ここに「Ctrl」と「C」「V」を使ったコピペのショートカットが追加され、現在の主流となっている。つまりコピペの誕生は商用PCのそれと時を同じくしていると考えてよい。
実はキーボードショートカットは他にもたくさん種類がある。マジで覚えきれないくらいある。Windows標準のものから各アプリケーション独自のものまで……。今回はWindows 10標準のキーボードショートカットからこれは!というものをいくつかピックアップしておいたので役立ててほしい。
これらは何となく覚えとくと使えるかもしれない。中には普通に行ったところでコンマ数秒の差しかなかったり、「コマンドどうするんだったっけ……」てやってる間に後れを取る場合もあるかもしれない。それでも覚えたい。
かっこいいから。
史上最大の発明というくらいだからどれほど偉大な発明が出るかと身構えただろうか。「Ctrl + C & Ctrl + V」である。繰り返そう、
「Ctrl + C & Ctrl + V」である。
しかしながらこれはとても重要な視点でもある。つまり、UI(ユーザインタフェース)の観点である。どっしり構えた偉大な発明品と違って、UIは空気のように存在が薄れて注視されない。これぞまさにUIの理想である。ユーザ側が一切気に留めるでもなく活用されるような手軽さがUIには求められるのだ。PCに使い慣れた我々はわざわざ「『Ctrl + C & Ctrl + V』を使ってコピペしよ~」と思うまでもなくその行為を行っているはずだ。畢竟、「Ctrl + C & Ctrl + V」は我々の身体に染みついたということだ。おそるべし、「Ctrl + C & Ctrl + V」。
「Ctrl + C & Ctrl + V」、史上最大の発明に違いない。
余談だが、本記事中の「『Ctrl + C & Ctrl + V』」はすべてコピペを用いて記述した。だっていちいち書くの面倒だもん。
では最後にコピペしたURLで本記事の参考文献を紹介する。