第58号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

しばらく前から、毎日30分程度ランニングするのを日課にしています。

体力向上とか言えるほどのものじゃなくて、せいぜい「これ以上体力が落ちないようにするため」くらいのものですが、これを続けていることで「季節」を感じられるようになりました。

やはり涼しい方が走りやすいです。気温が上がってくると汗をたくさんかくようになりますが、一方でスタミナは持続しやすい感じがします。冬は一番ダメですね、肺の中が冷えてなかなか持続しません。こんな風に、走っている時の体感によって「空気から季節を感じる」ことができます。

むかしむかし、その場所の空気を詰めた缶詰がお土産に売っていましたが(作る側からしたらなんて安上がりなお土産なんでしょう)、確かに「空気」から感じられることはたくさんあります。海外に行った時も、現地に到着してまず空気から「異国感」がビシバシ伝わってきたものです。

「空気」は「意識を向けないもの」という意味合いで使われることもありますが、敢えて意識を向けてみるといろんなことを感じ取れますね。


今月のピックアップ クイズ!雨宿王!

今月のピックアップ、今回取り上げるのは4周年+第50号特別企画「クイズ!雨宿王!」です。


雨宿作品初のクロスオーバー企画はハチャメチャなクイズ企画!?いったいどのようにして誕生したのでしょうか。

何それ知らない!という方は↓から読んでみてね。


4周年+第50号特別企画としてのクロスオーバー企画

前述の通り、「クイズ!雨宿王!」は雨宿拾遺物語の4周年+第50号特別企画として掲載されたものでした。4周年+第50号記念号はこちら。

2024年11月に発行された第50号はその前の月(2024年10月)に創刊4周年を迎えたことも含め、豪華コンテンツが掲載されました。『南極のサラエ』や『テラレジア・オーダー』の連載開始などですね。

その豪華コンテンツの一つとして作品の垣根を越えた特別企画を考えていました。


もとより、雨宿は作品同士の世界観が混ざることにかなり慎重です。本編に他の作品のキャラを登場させるのは避けているし、SNSに投稿するイラストでも複数の作品のキャラを同時に描かないように注意しています。なぜなら、そういうことをしてると世界観が混ざっちゃうからです。

澄んだ水に少しだけ牛乳が混じると、途端に全体がもやっと濁りますよね?それと同じで、例え本編外のイラスト一枚だったとしても、他作品との接点を見ると読者のみなさんにはそのイメージが強く残ると思います。

「本編ではこう言ってるけど、あのイラストではああ言ってたのにね」

みたいな風に思ってしまうでしょう。これがいわば「牛乳で濁った状態」で、作者としては微妙な気持ちにさせられます。


「あのイラストはあくまで本編とは無関係だったのに……」


こういうことが起こるのを防ぐためには、普段から他作品の世界観が混ざるようなことをしないのが一番です。

これが、雨宿がクロスオーバーに慎重な理由です。(時々例外はあります。読み切り作品はそれ以上続きを書かないと決まってるので、使い勝手がいいキャラクターは別作品で再利用することがあります。『お嬢おか』に北条さくらちゃんが出てきたみたいに。)


でもね、

クロスオーバーは楽しいの。

『アベンジャーズ』を見れば分かるでしょ?(一作目ね)『ルパン三世vs名探偵コナン』みんな好きでしょ?クロスオーバーの〝わちゃわちゃ感〟は他のものに代え難い楽しさがあるのは間違いないんです。

僕だってそういうの大好きなんです。書きたいです。

ということで、「本編とはまったく関係ない」とおことわりを入れた上で、「周年企画だけのトクベツ」ということならいいでしょう(その代わり、いつもはやっちゃダメよ)ということで第50号でのクロスオーバー企画を考えました。


クイズ!雨宿王!ができるまで

クロスオーバー企画をやると決めたはいいものの、どんな内容にするかは悩みました。キャラクターがひな壇に座ってただただ会話を繰り広げる「アメトーーク!」形式もいいですが、面白みに欠ける。レイドボス企画としてみんなで共闘する……ことも考えました(ネームまで描いた)が、キャラクターごとの戦力差が大きすぎるので却下(結子店長は絶対に戦わない!)。


あれこれ考えるも結論が出ない中、クロスオーバー企画は一旦置いといて、第50号までの軌跡をまとめる作業を始めました。

「あの頃はあんなことがあったなあ……あ、こんなこともやったっけ……そういえばこんなキャラクターもいたよね……」

その時ひらめいたのです。


そうだ、クイズ、やろう。


雨宿拾遺物語のこれまでの活動をそのままクイズにする。これなら作品の垣根を越えていろいろなネタを引っ張ってくることができるし、昔から読んでくれている方も、最近読み始めてくれた方も楽しめます。

なにより、とても〝わちゃわちゃ〟します。


そうしてクイズ!雨宿王!はできたのです。

ちなみにタイトルはこれ以外にもいろんなクイズ番組をもじって考えましたが、「そんな昔のクイズ番組知らないっしょ」というのが多かったので、無難に「東大王」から取りました。ほか、アークとか「王」って響き、好きでしょ……?


人選と作問

クイズの参加者は各作品の主要人物から選んでいます。それぞれ4周年+第50号記念キービジュアルにも登場してますよね。司会進行は結子店長とローガン。この二人はメタフィクショナルというか、ときどき第四の壁を越えてくるところがあるのでどこか似てますね。

木ノ内兄妹はすっかりおなじみです。今となっては驚きの話ですが、第2話(琴美初登場)のプロットを考えた時点では「政直と琴美は兄妹」という設定は考えてなかったのです。割と創刊直前になってポロッと思いついたところがあります。

チーム中学生はなんだかんだバランスがいいです。ここのところしばらく描いてなかったので、久しぶりに描くついでにキャラデザをマイナーチェンジさせています。真子ちゃんの後ろ髪が一部肩にかかるようになった辺りとか、分かりやすいかな。

アーク&フェルドは説明不要です。衣装は『オーダー』版で新しくなり、実はこのクイズが初お披露目だったりします。ローガンも同様です。

鐵軌の二人はかな~り久しぶりに描きました。このクイズを書くにあたって今一度原作を読み直しました(その割にはキャラ崩壊がひどいけどね……!)。本編ではあまり和気あいあいとしたシーンが少なかったですから、ほほえましいです。ちなみにすっげーどうでもいい話ですが、雨宿作品におけるバストサイズはアンジーと結子のお母さん(時子)が最大クラスです。次点で響子、エリセア、マーチカらへんが続くと思われます。勝手な認識です。


ちなみに、サラエは今回参加者から外しました(ゲスト出題者として登場)。初登場したばかりで読者のみなさんもよく知らないのに、キャラ崩壊させるわけにはいきませんよね。クールなようでいて、実はバカ騒ぎするのも大好き……という性格だと思ってます、たぶん。今後に期待。


その他、ゲスト出題者としてアガタ、カノン、エリセアも出てますね。みんな大好きなヒロインです。


作問は、適当に30問ちょい作った中で良さげなものを20問チョイスしました。一部には分かるわけない(作者ですらこのために調べた)問題もありますが、基本はそれぞれの作品に触れていればなんとなく分かるという、ファン度を試すにはちょうどいい難易度だと思います。みんなは分かったかな?


クロスオーバー企画の今後

前述の通り、クロスオーバー企画は今後も特別なタイミングでたま~にやっていこうと思います。キャラクターが増えればやれることも増えるでしょうね(野球とか?)。レイドボス企画の没ネームは、いずれリメイクでやるかもしれません……。

シリーズ化させるかどうかは微妙なところなので、あくまで「たまのお楽しみ」感覚で、強い期待はしないでね。


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