第44号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

拙作『テラレジア・クロニコ』が完結です。

半年に及ぶ彼らの冒険、そして週刊連載にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

テラレジアの王様とそのお仲間の戦いはまだまだ続きそうですが、作品としてはひとまず完結ということで――

――なんて、含みのある言い方をしてるのは僕自身がまだまだ描きたいからです。あんな展開やこんな展開などいろいろ考えていたのに、描かないのはもったいない!ということで、いずれはテラレジア共和国に戻って来ようと思ってます。正統派な続編になるか、はたまた別な形になるかはまだ分かりません。マンガそのものだけでなく、コンテンツとしてもテコ入れを図りたいところですね。いずれにせよ、僕は「彼ら」に導かれるままやるだけです。

でもでも、あんまり期待しすぎないでください(笑) いろいろと他に手を付けていることがありまして、こっちに戻ってこられるのはかなり先になりそうなので……。

ではまた、あの丘の上で会いましょう。


『お嬢おか』中編連載中!舞台の中辻市にクローズアップ!

雨宿拾遺物語の看板作品、『お嬢店長おかしまし』は現在三作目となる中編『Film de Nakatsuji』編が好評連載中です。

(実は)映画研究部の政直くんたちがひょんなことから本当に映画を制作することになってしまいます。幼馴染で親友の姫乃ちゃん、いつものノリの良さで主演女優を買って出た我らが結子店長と一緒に、様々な人々を巻き込んで映画制作が進んでいきます。8月号までの全5回連載予定なので、ぜひご覧ください!

ということで、この特集では『お嬢おか』の舞台であり、今回制作する映画のロケ地ともなる、中辻(なかつじ)市についてクローズアップ!これまでに公開された設定をもとに、どんな街なのかを見ていきましょう。

これを見れば結子たちの故郷がよく分かるはずです。


結子たちが住む中辻市について、基本的な情報はこちらです。

地方の大都市、都原(みやこのはら)市から、都原鉄道(私鉄)で30分、終点中辻駅の辺りに広がる街。中辻山という山の麓にあって人口5万人くらい(ただしこれは市域全体での人口なので、中辻市街だけだともっと少ない)。都原市のベッドタウンという立ち位置。有名なのはなんと言っても丘の上にある大邸宅で、神之目不動産の創業家の家である。神之目家はこの街の歴史上も深い関わりがある家系で、「中辻の神之目」という存在は揺るぎない。地域の人々が「神之目さま」と呼んで強く慕っている様子が見て取れる。

第1話より


ハイ。こんなところです。この辺の設定を見ると分かる通り、中辻市は「田舎」です。でも「田舎すぎない田舎」ってところでしょうか。人口は多くないですが、私鉄の終点があるくらいですから昔からそれなりの規模の街があったと思われます(それは神之目家という由緒正しい家系の存在からも分かります)。地方都市出身のみなさまなら「うちの街ならあの辺の立ち位置かな……」ってイメージがつくんじゃないでしょうか。多分それで合ってます。

基本的に住宅街が広がってて、周りには田んぼがあって、街の中にときどき「だがしやサトー」みたいな古めかしいものがある。それが中辻の街。

先ほどの説明にもある通り、この街で結子の実家、神之目家の存在はとんでもなく大きいです。小さな街に日本有数の大金持ちが住んでるんだから、当たり前ですよね。歴史上も謂れがある家系らしいです。なんでも神之目家は昔から苗字帯刀を許された豪商の家系で、中辻に本家を置きながら都原の城下町でいろいろ商売していたらしいです(この辺は未公開の設定です)。日本の歴史的な街はふつう、城、港、街道、寺社とか、何かの存在を中心に集落が広がっているんですが、中辻については神之目家とそこへ続く街道が中心になって出来上がった街のようです。

街の人々にとって「神之目さま」とは、ただ「偉い人」というよりは、雲の上の人、半分神様みたいなものなんですかね。この辺りがデリケートなので振る舞い方が難しく、当代の満爾さん(結子のお父様)は「街の政治には基本的に不干渉、経済・文化振興はする、その他頼まれたらちょっと助言するくらい」という立場を貫いているらしいです。大変っすね……。


今回の中編では中辻市が映画のロケ地にもなるということで、街にどんなものがあるのかをもう少し見ていきましょう。といっても、今までに街の詳細なマップを考えたことはありませんので、だいたいの位置関係だけ記した簡易的なマップを書きました。

北側が中辻山、その麓の丘に神之目家、南へ行くと平野があって、都原鉄道は南に向かって線路が続きます。昔は神之目家の門前を中心に集落があったのですが、今では駅を中心に住宅街が広がってます。国道・県道は都原市から南北に続くものと、山の麓に沿って東西に続くものが二本(これが昔の街道をなぞっています)。街の中心部には昔ながらの駅前商店街や地元の高校などがあります。

すごくありがちというか、平凡な街です。地元の人に「何か見どころはある?」と訊いたら「何もない」と返ってきそうです。さっきも言った通り「田舎」なんですね。現代の人の「日本の田舎町のイメージ」は、茅葺屋根の集落なんかじゃなくて、こういう街なんじゃないかと個人的には思います。


今回は『お嬢おか』の舞台である中辻市にクローズアップしました。過去の話をしばらく読んでいなくて忘れてしまった方も「あーこんな感じか」と理解してもらえたかと思います。

『お嬢おか』という作品は、メインキャラクター以外は連載開始後に考えましたが、舞台設定については構想段階からいろいろ考えていた気がします。今回お話しした以外にも中辻市をはじめ都原市やその他について様々なバックグラウンドを考えていて、それらが地味に作中に活きています。「はじめに世界観ありき」は僕(雨宿拾遺)の一貫した姿勢で、その結実が『テラレジア・クロニコ』かもしれません(あっちは国一個まるごと作っちゃいました)。


『お嬢店長おかしまし Film de Nakatsuji』は好評連載中。今後も目が離せません。


連載作品・記事


お知らせ

『テラレジア・クロニコ』完結

『テラレジア・クロニコ』は完結しました。この機会に読み返して新しい発見を探してみるもよし、まだ読んでなかった人は今がチャンスとばかりに読んでみてはいかがでしょう。


第44号

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