第38号

オープニングエッセイ 雨宿りの小噺

問題:「釣瓶(つるべ)落とし」と言えば?

答え:秋の日。

釣瓶というのは井戸の水を汲む桶のことですが、パッと手を離すと一気に下まで落ちていくように、秋の日はあっという間に沈んでしまうという例え。

秋から冬にかけての今の季節は毎年その言葉を思い出します。帰り道の空の明るさが、夏と今とじゃ全然違います。同じ時間に帰っているはずなのに、なぜか随分夜遅くまで活動していたみたいな気持ちになってきます。雨宿はけっこう原始的な生き物なので、太陽が沈むと自分のスイッチが切れるんです。単なる比喩表現ではなくて、もう、実際に「あ、今切れたな」って感じるのです。

今日はしっかりやれたかな、明日はどこまでやれるかな、自分はちゃんと前に進んでるのかな。

考え込んでも仕方がないので、とりあえず、今日のところは合格点としておきましょう。


……パチッ。


『テラレジア・クロニコ』第2章予告

みなさまこんにちは。大統領秘書のロディヤ・ハイルモンドです。

こちらは好評連載中『テラレジア・クロニコ』あらすじ紹介です。


先月より連載が始まった『テラレジア・クロニコ』はお楽しみかしら。アーク様とフェルド様の活躍がこれからもっと楽しみになりましたわね?今月号からはいよいよ新章も始まり、これからの活躍が待ち遠しいですわ。

……ところで、あたしの出番が無かったんですけれど、この後は期待していいのよね?初登場となればそれはもう華麗なシーンが待っている……のよね?そうでなきゃ作者の喉元にナイフを突きつけに行くわよ。

ウフ、冗談よ。


それじゃ今回も参りましょうか!


今月号より始まる新章について、まずはキービジュアルを大公開!

アーク&フェルドの前に立ちはだかる新たな敵、そしてきらびやかな舞台の世界に、そびえる巨大な黄金のビル……

あたしの出番については、早くも暗雲が立ち込めてきたわね。……別にいいのよ、あたしには宣伝のお仕事がありますから、ね!!!


第二章のあらすじをご紹介いたします。


100年ぶりに本土に舞い戻った王家の末裔アークと相棒のフェルドは、首府の片隅でぐうたらな暮らしを送っていました。

プー太郎で家賃の支払いにも滞ったために大家であるガリバン爺の印刷屋で働かされることになったのだけれど、これも無断欠勤の常習犯。ろくでもない二人組は近所でもそこそこ有名な存在になりつつありました。


そんな二人の活躍を取り上げた新聞の連載記事が「テラレジア・クロニコ」。執筆しているのはテラレジオ・ポスト社の新米記者カノン。

ところが、彼女の上司が言うことには、「テラレジア・クロニコ」は本社から掲載拒否の判断がなされたため、突然の打ち切り宣告。なんたる横暴、許せませんわ。

本社の突然の対応はあまりに不自然、アーク様たちはテラレジオ・ポスト本社に乗り込むことにしたんですの。


そこで出会った男はステファノ・グレズノ。テラレジア公共放送の経営責任者にして自身もテレビスター、そして何より、テラレジア国内のメディアに多大な影響力を持つ、人呼んで「メディア王」なんですの。

グレズノが二人に明かした真実とは……?

アーク&フェルドの新たな戦いが幕を開けます。



テレビというと、あたくしロディヤ・ハイルモンドもテレビっ子でしたわよ。……え?「そのせいでメガネをかけてるのか」って?失敬ね、これは伊達メガネですわよ。先生(大統領のことですわ)が「この方が秘書っぽいから」って言って……それはさておき。

あたくしはませたお子様だったから、子供向け番組に興味はありませんでしたわ。代わりにドラマを観てたの。国内ドラマってのは大概お粗末で話も退屈だったから、アメリカのを吹替した作品をよく見てましたわ。やたらきわどい恰好の金髪お姉さんが出てきたり、主演の筋肉ムキムキな俳優がケンカやら水浴びやらでほぼ毎回上裸になるシーンがあったりとか……今思えばアレは露骨な視聴率稼ぎでしたわね。

あとは……歌番組!ドラマは海外モノばっかり見ていましたけど、音楽はめっぽう国内歌手よね。だって英語の歌詞なんてあの頃は何言ってるか分かんなかったし。あたしも女の子だし、もちろんアイドル歌手がお気に入りだったのよ。こう言っちゃ悪いけど、今時分のアイドルは媚び媚びした感じがあってやあねえ、あの頃のアイドルは純粋に歌が上手くて、パフォーマンスがすごくって、それで人気だったでしょ?あれが良かったのよ。(テラレジアのアイドル事情が伝わらなかったらゴメンなさいね)

あたしはこんなのだったから教官には「ハイルモンドは俗っぽい」って散々どやされたけどね。教練で荒んだ心を癒してくれるのはテレビの歌姫だったのよ。

……ウフ、今の話は聞かなかったことにしてね。


さてさて、あたくしの出番は月に一度ですけれども、本編は毎週日曜日更新ですわ。今週から始まる新たなバトルもお見逃しなく。そして、この作品の「キモ」もようやく見え始めてきましたわね。なかなかにひとクセもふたクセもあるお話ですのよ。

乞うご期待ですわ。


現代に生きるみなさまは「毎週決まった時間にテレビの前に座って見る」ってことが珍しくなってるかもしれませんわね。その作品、たまにはオンエアで見てはいかがかしら。……雨宿拾遺物語も、ね?


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第38号

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